
ダイエー(近澤靖英社長)はグローサリーやキッチン雑貨、化粧品、実用衣料品などをインバウンド(海外から日本への旅行者)向けに強化する。16日、免税対応店舗を103店(96店増)へ拡大した。あわせて電話通訳の導入など、外国人向けのサービスを充実させる。今後、ホームページの多言語化などの情報発信を強化し、需要の取り込みを図る。
ダイエーの免税対応は中国や台湾、韓国からの観光客が多い九州でスタートした。1998年のショッパーズ福岡店(福岡市中央区)と宮崎店(宮崎市)を皮切りに、14年10月までに観光地に近い新浦安店(千葉県浦安市)や新さっぽろ店(札幌市厚別区)、三宮駅前店(神戸市中央区)など7店で免税店免許を取得した。
当初、インバウンド需要は限定的なものととらえ、大幅な売上アップは想定していなかったという。ところが10月以降、免税手続きをした売上高は急激に拡大し、1月度は前年比20倍になった。
「インバウンド需要は買物を目的とする観光客が多い百貨店や家電量販店などが主で、食品を中心に日常の商品を主力とするGMSやSMはあまり売上増につながらないとみていた。実際は10月以降、想定以上に売上が拡大している。売上の内容を分析すると、ツアーや団体ではなく、個人旅行客がホテル内で自家消費する菓子や飲料のほか、化粧品やステンレスボトル、包丁など、お土産用と思われる商品の動きがよいとわかった。駅前や名所の近郊など立地の優位性や営業時間の長さなどを活かし、新たなニーズとして需要を掘り起こしていく」(宮澤厚関東営業企画部部長)
日本らしさが伝わる商品をコーナー化

16日、免税対応店舗を103店へ拡大するとともに、英語・中国語・韓国語・タイ語など7カ国語に対応する電話通訳や、POPやサインボード等の多言語での表示、免税手続きでの指差し会話集の導入などサービスを拡充した。また、中国の銀聯カード決済を順次、103店に拡大する。
売場では、外国人観光客に人気の高い商品群を集積する。16~22日は春節(旧正月、中華圏の祝日)にあわせ、中国や台湾からの観光客をターゲットに、食品や住関連売場でコーナー展開している。食品は抹茶やワサビフレーバーの菓子、清酒、無糖茶など、日本らしさが伝わりやすい商品が人気で、化粧品やキッチン雑貨は国内製品を集めた。
ホームページの多言語化や、店舗周辺の宿泊施設にダイエーを紹介するパンフレットを設置するなど、情報発信の強化やサービスの拡充を進める。15年度の免税対応売上高4億円を目指す。「一般的にインバウンド需要のうち、免税手続きをしている売上は8割ほどで、2割は免税になっていないと推計されている。この分を取り込むだけでもマーケットはさらに拡大する余地がある」(宮澤部長)