店舗出荷型と倉庫型の長所を融合し、年商50億円めざす
イトーヨーカ堂(戸井和久社長)は8日、ネットスーパー専用店舗として「セブン&アイ ネットスーパー西日暮里店」(東京都荒川区)の運用を開始した。顧客の買物代行として従業員がピッキングする店舗出荷型のメリットと、倉庫型の効率性を融合した仕組みづくりを目指す。戸井社長は西日暮里店の位置づけについて、「倉庫ではなく、あくまで店舗」としている。受注件数は、既存ネットスーパーの5倍に相当する1日2000件に対応し、年商50億円を計画している。

イトーヨーカ堂のネットスーパーは、145店を拠点に展開し、14年度の年商は前期比11.1%増の約500億円だった。
「ネットスーパー事業は黒字化を果たしており、黒字幅を年々拡大している」(戸井社長)
リアル店舗を拠点とした既存のサービス網に加え、新たにネットスーパー専用店を開設するねらいについて、戸井社長は次のように語っている。
「店舗出荷型は1日10便体制が限界で、ネットスーパーサイトにログインいただいたお客さまの約半数を、キャパシティなどの問題で逃している。西日暮里店は23便体制とし、この機会ロスを克服する。また、東京・山手線内のネットスーパー市場は、潜在的に最大で350億円くらいと推計している。しかし多くは当社の未出店エリアで、既存の店舗網ではカバーできない。ネットスーパー専用店により、山手線内の需要を獲得していく」
配送は午前10時〜午後11時30分までの1日23便体制とすることで、対応件数は店舗出荷型の5倍にあたる2000件に拡大する。配送エリアは従来、1店舗あたり3~5㎞だったが、西日暮里店は7~9㎞をカバーする。周辺4店と配達対象エリアが重なるため、これら店舗で対応できない受注をカバーする役割も担う。利用者はサイト画面の中で、既存店かネット専用店のいずれかを選択できる。複数店を選択できるシステムは、既に武蔵小杉駅(神奈川県川崎市)周辺の4店舗でも稼働している。
日刊流通ジャーナル 3月9日号より抜粋