セブン&アイ・ホールディングス(村田紀敏社長)は今期、グループ各社で価値を追求するMDやサービス開発を推進する。村田社長は、「成熟社会では価格を下げても販売量が伸びるわけではない。より品質のいいものをつくり出すことへの挑戦で成長できる」という。15年度の投資額は、コンビニ事業で前期比1.5倍の2930億円、スーパーストア事業は1.4倍の922億円を計画する。また、秋に本格稼働するオムニチャネルの取り組みでは、15年度で売上高2000億円、将来は1兆円を目指す。
価値や新しさを追求した施策により、14年度はセブンーイレブン・ジャパンの業績が好調だった。また、グループPB「セブンプレミアム」の売上高は21.6%増の8150億円となり、12年12月に発表していた14年度の計画数値をクリアしている。
村田社長は、価値の追求は成熟社会のマーケット変化に合わせた必然的な取り組みと指摘する。
「今や60歳以上の消費額が全体の50%を支えている。40〜50代前半は、30年前には6割だったが今は4割くらいだ。高齢化が進み、有職女性が増えている。これらの層が求めるのは、少量でいいから価値ある商品だ。消費が弱いわけではない。より品質のいいものをつくり出すことに挑戦し、マーケットを創造できれば成長は可能だ。そのように考えることが、15年度の積極的な投資の根拠になっている」(同社長)
15年度のグループ総投資額は、前期比34.9%増の4600億円を計画する。コンビニ事業は1.5倍の2930億円で、このうちセブンーイレブン・ジャパンは23.6%増の1600億円、米国セブンーイレブン・インクは2倍の1290億円を計画する。スーパーストア事業は1.4倍の922億円を予定し、イトーヨーカ堂には1.5倍にあたる611億円を投資する。
村田社長は、「イトーヨーカ堂への投資は年間300億円前後を基本に考えているが、都内でいい物件が出たため今期は膨らむ。また、既存店の活性化も積極的に進める」としている。
GMS改革では旧来のチェーンストア理論からの脱却を図り、地域性を重視した個店主義を推進する。
「イトーヨーカ堂に限らず、GMS不振の共通項は時代の変化に合わせてチェーンストア理論を変えられなかったことにある。本部中心の仕組みは、地域ごとのニーズに対応できなかった。これからは個店主義を徹底していく。収益の責任は個店にあり、個店をサポートするのが本部の役割だ。要望は店から出す。本部がそれに対応できないとしたら、そのときは本部を変えるしかない」(同)
日刊流通ジャーナル2015年4月7日号より抜粋