既存店の活性化を優先して進める
16年度までの3カ年で1兆5000億円の投資を計画していたが、1兆3000億円に抑制する。国内のGMS、SMの出店を抑え、ダイエーをはじめ、既存店の活性化を優先する。海外への投資も優先することに変わりはないが、15年、16年度で9%削減する。
16年2月期連結業績はイオンリテール、ダイエーの改革の成果で、増収増益を見込む。営業収益は13.0%増の8兆円、営業利益は23.8%増の1750億円、経常利益は8.2%増の1650億円、当期純利益は1.0%増の425億円としている。
岡田社長は「今期から、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスやウエルシアホールディングスが寄与する。またイオンリテール、ダイエーの改革の効果も出てくる。いままでのダイエーの取り組みは再建には、ほど遠かったが、不動産コストの適正化などで、さまざまなことが改善される。そうしたことを含めて、今期はグループ全体の中身が大きく変わる」としている。

専門店化の集大成で新しいGMS目指す
イオンリテールは変化に迅速に対応するうえで、エリアカンパニーに権限を移譲する。「地方創生の動きで活性化が進められている中、画一的な政策、MDは通用しない。エリアの特色に合わせた営業活動が必要であり、商品部を中心に1100人超の配置転換を実施した。オール・ニュー・イオンで、『全店全新』を目指す。権限移譲は基本的にエリアで競合する№1企業のトップと同じレベルのものを与えている。近畿カンパニーは5000億円企業のトップと同じ判断ができる。仕入、売価のほか、経営企画、営業企画の権限も与えている。改装費用も、いままでよりかなり高額を決済できるようにした」(岡崎双一社長)
また売上確保のための過度な値引きを取り止め、販促を変更した。商品の価値がきちんと伝わっていなかったことから、商品と催事企画を連動させている。全店で稀少部位を取り入れた家庭焼肉の販促を実施したところ、既存店の精肉の売上が20%増加した。PBの拡販も「トップバリュセレクト ギリシャヨーグルト」の価値を店頭できちんと提案したところ、2週間で100万個を売り上げた。
現状の最大の課題はピークタイムの人材の確保であり、2時間、4時間単位でも就業できるよう30億円の予算を与えている。イオンスタイル、GGストアに転換し、新しいGMSの構築を目指す。これまで専門店化の推進でイオンバイク、イオンリカー、ROU(日用雑貨)などをショップ展開している。
「イオンモール岡山で手がけたドレスヴァーグ(メンズ)、マルシェルージュ(レディス雑貨)などを含め、専門店化を集大成し、セグメンテーションスペシャリティストアに形を変えていきたい」(岡崎社長)としている。
日刊流通ジャーナル2015年4月13日号より抜粋