パパママ薬局を引き込むFCパッケージの構築めざす
ヒグチ産業(樋口信治社長)は6月1日に、調剤薬局チェーンのファーマライズHD(大野利美知社長)とファミリーマート(中山勇社長)の3社で合弁会社を設立する。ヒグチ産業のドラッグストアの運営は新会社に移行すると同時に、パパママ薬局を引き込むFCパッケージの構築に力を入れる。

以下は、樋口会長の発言要旨である。
当社は最近、ドラッグストア業態の「薬ヒグチ」の新店を出さず、ファミリーマートとの一体型店だけを開設している。「薬ヒグチ」の標準的な売場面積は50坪で、最近の主流の150〜300坪に対し優位性を発揮できない。これを補完するものが、創業以来60年以上培ってきたブランド力と、新業態のドラッグ&コンビニだった。
ファミリーマートは2012年の当社との提携を皮切りに、全国で様々な企業とドラッグ&コンビニを開設しているが、当社との店舗数が16店と最も多い。ファミリーマート直営店を当社がFCのドラッグ&コンビニにし、実際に売上を伸ばした実績が評価され、合弁会社設立で当社に声をかけてくれたと考えている。
また、コンビニエンスストアは、酒屋や米屋などの許認可事業の店をFCにして拡大した経緯があり、現在残っている許認可事業である医薬品に目をつけたのだと思う。ファミリーマートは約10年前に高速出店し、そのFC契約の更新時期が来る中、継続契約してもらうため、医薬品販売という付加価値を訴求したかったのだろう。
現在のファミリーマートのドラッグ&コンビニは、全てドラッグストア企業がフランチャイジーとなっているが、ファミリーマートは次のビジネスモデルとして、パパママの薬局・薬店を引き込むFCパッケージの構築を目指している。今回の合弁企業設立で、ドラッグ&コンビニまたは調剤&コンビニのフランチャイザー会社としての取り組みは前進する。
ヒグチ産業の本体には、不動産事業だけが残る。新会社でもドラッグストアの運営は、引き続き樋口信治社長が進めるだろう。合弁会社の株式比率はファーマライズHDが55.1%と過半数を占めており、どれだけ主体性を持って経営を続けられるかについて予測は難しい。ただ3社の方向性は同じであり、信頼感を持って力を合わせたい。
私自身は他の2社から、引き続き日本医薬品登録販売者協会の会長と、日本チェーンドラッグストア協会の副会長としての活動を続けることで了解を得ており、後方から業界を支援する。
日刊ドラッグストア2015年4月28日号より抜粋