アルフレッサホールディングス(石黒傳六社長)の3月期連結業績は、医療用医薬品市場の鈍化と取引ルールの見直しにより減収減益だった。OTCを中心としたセルフメディケーション卸売事業は増税前特需の反動を受けたが、インバウンド効果等で売上高は横ばい、営業利益は大幅増とした。今期業績は新規連結効果で増収増益の基調に戻す。
3月期の連結業績は、売上高が前期比3.3%減の2兆4211億6200万円、営業利益が16.4%減の292億2800万円、経常利益が12.5%減の389億8500万円、当期利益が10.3%減の229億2200万円となった。減収は2003年9月にHDとして上場して以来初、減益は2011年3月期来4期ぶりである。
昨春の薬価引き下げや後発医薬品調剤体制加算制度改定で取引先の使用薬剤が見直され、後発品の浸透と長期収載品の置き換えがすすんだほか、増税前特需の反動とその後の受診抑制により、市場成長率は17年ぶりに2.7%のマイナス推移となっている。
この影響に加えて、重要課題とする経済合理性に立った取引、単品単価取引、価格未妥結・仮納入の改善からなる流通改革に取り組んだことも、業績に作用した。石黒社長は、「メーカーの協力等で改革はある程度の成果が出たが、定着には至ってない。今期も取り組みを続け、改革と言われないまでにして定着させたい」という。
高付加価値の専売品も好調
主力の医療用医薬品等卸売事業は、売上高2兆2051億6800万円(3.6%減)、営業利益274億7200万円(16.2%減)だった。売上伸長率が市場成長率を下回ったことで、医療用医薬品シェアは前期比0.8P減の24.0%となっている。
昨年4月に、高知県の篠原化学薬品を完全子会社化(新商号=アルフレッサ篠原化学)し、続く10月に四国アルフレッサの診断薬卸売事業を同社に集約した。また今年1月に沖縄の琉薬の本社・物流センターを稼働してローコストオペレーション体制を整えた。このほか昨年8月、ワクチンスケジュール管理システムの提供を開始し、その運営子会社・ワクチン安全管理を設立している。
子会社アルフレッサヘルスケア(HC)が展開するセルフメディケーション卸売事業は、売上高1999億1800万円(0.4%減)、営業利益2億7600万円(46.2%増)だった。OTC市場のマイナス成長や増税前特需の反動の影響を受けたが、一部取引先のインバウンド需要の拡大でほぼ前期並みの売上を確保し、付加価値型の専売品も利益に貢献した。
長谷部省三副社長(アルフレッサHC会長)は、「インバウンドの風が吹き下期以降の業績に寄与した。取引先の免税対応店の売上は前期比149%となり、利益率の高いOTCや健康食品等が売れている。インバウンドはネット通販と異なる新市場であり、今後も業績の押し上げ効果になる。また専売品は、膣洗浄ジェル(インクリア)や口臭対策錠剤(バイオブレス)、タモギタケを原料とした機能性食品など、高付加価値型の提案品が好調に推移している」という。
日刊ドラッグストア 2015年5月20日号より抜粋