内閣府の規制改革会議は6月の答申に、患者の服薬状況を一元的に管理する「かかりつけ薬局」制度の導入や、病院内薬局開設のための規制緩和を盛り込むと予想される。医薬分業率は7割弱に達し、物理的な分業は実現したが、重複投与の回避や飲み残しの防止など、患者のための機能分業は十分に果たされていない。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS、関口信夫会長)は、面分業の受け皿として「かかりつけ薬局」の担い手になり、患者の安全管理や在宅といった機能面の強化のサポートを目指す。
規制改革会議は、かかりつけ薬局を制度化し、異なる診療科からの重複投与の防止を目指している。投薬を減少させ副作用の抑制を図るとともに、飲み残しも管理する。2007年の厚労省の資料では、飲み忘れ等で廃棄される年間の薬剤費は約500億円で、在宅患者の訪問薬剤管理の徹底により、8割の400億円が改善されると見ている。
宗像事務総長は「近年は特に、医薬分業が生活者に役立っているかが議論されている。国は処方箋を外に出す物理分業に成功し、調剤費における薬剤費の比率低下につながった(下の表参照)。今度は分業の本来の目的である機能分業を果たし、患者を守るべきだ。行政は医薬分業を否定しないが、無資格調剤を含め薬剤師が役割を十分に果たしていないと考えている。在宅や安全管理など、機能分業を実現した薬局に、より重点的に点数が算定されるようになるだろう」と語った。
敷地内薬局含め、大規模な見直し
また規制改革会議は、医薬分業と移動困難者の利便性の調和を図り、病院敷地内の薬局開設を認めるよう答申すると見られる。
「病院敷地内の薬局は、院内処方への回帰ではなく、医薬分業の概念の変化と捉えている。『かかりつけ薬局』などと合わせ、6月上旬頃の閣議決定が予想されるが、調査項目になるのか、重点項目になるのかで対応も変わる。ただ、薬歴問題への対応も含めて大きな見直しがおこなわれることは間違いない。基本的に在宅、健康拠点化、セルフメディケーションの推進に舵を切っており、ドラッグストアの機能が脚光を浴びる材料になる。会員企業には、会社や幹部の意識を変え、面分業を受け皿に新しい機能分業の時代をつくることを周知させた」(宗像事務総長)
日刊ドラッグストア 2015年5月21日号より抜粋