メディカルシステムネットワーク(メディシス、田尻稲雄社長)と薬樹(小森雄太社長)は、6月下旬の業務提携締結を目指して検討を開始した。高齢社会に対応できる薬剤師が求められる中で、教育研究プログラムの共催を目指すほか、震災や大規模感染症流行時の協力体制の構築、医薬品の不動在庫の廃棄ロス削減などの経営効率化で提携する。両社とも現時点で資本提携への発展は否定しており、薬樹もメディシスが主導するネットワークに参加する意志はない。
提携の検討は、薬樹の小森社長と、メディシスの調剤薬局の事業子会社であるファーマホールディングの秋野治郎社長の親交がきっかけだった。両社の経営資源やノウハウを有効活用し、相互の企業価値の向上と、生活者への良質な医療の提供が可能と判断した。
提携の内容は、「薬剤師等の教育研修プログラムの共催、相互乗り入れ」「災害時における相互協力体制の構築」「両社の経営効率化のための共同取り組み」を予定している。教育研修プログラムは、今後求められる薬剤師の育成を目指す。薬歴未記載問題や、医薬分業の費用対効果に対する疑義が提起される一方、地域包括ケアシステムの整備が急がれる中で、薬物療法に深く関与し、重複投与や相互作用の回避などの能力を高める。
なおメディシスは医薬総合研究会、薬樹はソーシャルユニバーシティという、いずれも日本薬剤師研修センター認定の薬剤師研修機関を有しており、共同開催や相互乗り入れをおこなう。「薬樹のソーシャルユニバーシティは、医師を招いた講座を開くなど高レベルの研修体制がある。ここに当社の薬剤師も今月から参加しており、資質向上に努めている」(メディシス田中義寛常務取締役)
さらに業界の環境が厳しくなる中、不動在庫の相互売買による廃棄ロスの削減や、効率的な薬局運営のノウハウを共有し、ローコーストオペレーションを目指す。メディシスは1200店の加盟薬局をネットワークで結び不動在庫を融通しており、これを薬樹との取り組みにも活かす。
両社とも現時点で、資本提携への進展はないとしている。また薬樹はメディシスが主導するネットワークへの加盟と、加盟社がおこなう医薬品の共同購入はおこなわない考えである。
日刊ドラッグストア 2015年5月25日号より抜粋