節約志向の高まりに対応しEDLPを継続
西友(上垣内猛CEO)は消費税増税に加え、円安や原材料価格の高騰でメーカー各社が相次いで値上げを発表している中、生活防衛意識や節約志向の高まりに対応し、EDLPを継続する。ウォルマートのミッションをベースに、ビジネスモデルの構築を目指す。競合店のチラシに売価を合わせるチラシマッチに加え、購買頻度の高い商品の売価を凍結する。昨年10月に30店閉鎖を発表したが、着実に体質改善が図られているという。当面は、既存店の活性化を最優先する。

14年度の業績は6年連続で、増収増益になった。過去8年で6.8%のコストを削減したことが奏功し、EDLCのベースができたとしている。品質や味に不満があった場合、返金に応じる生鮮食品満足保証プログラム、惣菜の商品力強化やオペレーションの見直しによる夜間の品揃えの充実が、既存店の底上げにつながった。
生鮮の既存店前年比は8.1%増、惣菜は19カ月連続プラスで5.1%増、トータルの既存店は4.3%増だった。また40店を改装し、2ケタの伸びをみせている店舗もあるという。ネットスーパーとセンター出荷型のネットショッピングも36%増と牽引している。
20年に女性管理職を3割へ
今年度は重点課題のひとつとして、女性リーダーの育成に取り組む。
「ウォルマートカナダのウーマン・イン・リテール プログラムを開始し、第1期で21人が参加している。日本の女性店長の比率は7.6%だが、カナダは50%となっている。カナダのプログラムを取り入れ、スキルアップを図るが、育てる側にも投資する。女性が現場でトレーニングを受け、能力を発揮するためには、上司の理解、サポートが必要だ。第1期の21人の参加者のうち、年末までに数人が店長に就く。今年後半には、第2期を選抜する。店長を含め管理職比率は現在11%だが、2020年までに30%に高める」(上垣内CEO)
並行して、能力に応じパートターマーの正社員への登用を進めている。06年から15年までに396人を社員に登用したが、180人が女性だった。女性リーダーの育成でカナダのプログラムを導入したが、グローバルワイドでさまざまなノウハウを導入していく。
また15年度の課題として、センターでの青果の出荷前検査の充実による鮮度強化、エリア・個店別の惣菜強化を掲げる。生鮮の鮮度・品質を高めることで、まだまだ成長の余地があるとみなしている。
「日本は決して小さなマーケットではない。さまざまな業態とチャネルがあり、それだけチャンスもある。ウォルマートグループとして日本での成長を諦めてはいない。いま生活防衛意識、節約志向が高まっており、どうやってビジネスモデルを実現するかということに取り組む。ウォルマートのミッションは合っている。むしろ、いまの環境は追い風だと感じている」(同)
日刊流通ジャーナル2015年5月28日号より抜粋