One Aeon グループで地域のあらゆるニーズに対応
イオン(岡田元也社長)は5月27日、千葉市美浜区のイベント会場で定時株主総会を開催した。岡田社長は今後の事業テーマとして、グループ全業種が「ヘルス&ウエルネス」の価値提供を追求することと、地域単位で構築する経済圏構想「One Aeon」の実現を掲げた。One Aeonでは、グループ全体で地域生活のあらゆるニーズに対応し、エリア内の販売シェア向上を目指す。これに向け、グループの多面的なサービスを地域単位で統合する体制づくりを進めていく。
14年度は、ウエルシアHDの子会社化やダイエーの完全子会社化、USMHの設立準備といったグループ再編により、8兆円体制を構築した。同時に、HD改革として事業会社や地域への権限移譲を進めた。こうした組織体制の変革を経て、今後のグループ方針としてヘルス&ウエルネスとOne Aeon構想を追求していく。
岡田社長は、ヘルス&ウエルネスをグループ全業種に関わるテーマと位置づける。
「これはドラッグストアに限ったコンセプトではない。食品、モール、サービス、衣料・住居余暇、金融なども含んだ統一的なものだ。高齢者に限らず、若い人たちも質の高い生活とは何かを考えている。そういったお客さまに、心身ともに健康で、真に豊かな生活をサポートすることで対応していく」(岡田社長)
食品でいえば、ヘルス&ウエルネスの要素として「ナチュラル」を重視する。
「昨年から仏・ピカール社の冷食を取り扱い始めた。保存料を使用せずに済む冷食もナチュラル志向に対応する一環だ」(同)
グループ全体で地域密着を追求
One Aeonでは、地域単位でグループ各社の物販・サービス機能を統合する仕組みを整え、地域シェアの向上を目指す。岡田社長は、「地域のあらゆるニーズに対応可能なプラットフォームを目指す。多面的なサービスを地域単位で統合すると同時に、地域に合わせたカスタマイズも行う」としている。
地域単位の経済圏構想が必要な背景について、岡田社長は次のように語った。
「地域に根差したライフスタイルをもとに、快適な毎日を送りたいと考える生活者が増えている。日本のあり方も地方分権が進んでいくだろう。今後の人口減を補うため、総合的なサービスでお客さま1人あたりのウォレットシェアを高める必要がある。また、ネットビジネスへの対抗という面でも地域単位のイオン経済圏を確立する必要がある」
構想を支える体制づくりとして、グループ各社による地域主体の経営をもとに、顧客基盤の共有化や販路のオムニチャネル化、物流などの合理化を進めていく。
日刊流通ジャーナル2015年6月1日号より抜粋