大木(松井秀夫会長兼社長)はこのほど、近年の市場と経営の環境を踏まえ、2016年3月期を初年度とする「構造改革中期3ヵ年計画」を策定した。国の健康寿命延伸策に沿ったセルフメディケーションの推進を軸に、調剤薬局のOTC取り扱いニーズに対応する。また専売品・共同企画品・自社ブランドの提案力を高め、他社と差別化を図る。
松井秀正副社長は、「医薬品市場に占めるOTCの比率は欧米が20%前後であるのに対し日本は9%程度と低い。軽度の疾病や病気の予防でOTCを活用するのは世界的な流れだが、日本もOTCの重要度が高まると考えられ、その中で当社の役割を果たす。また今後は在宅対応のほか、OTCを含む物販の機能も求められる。近年は調剤薬局の物販ニーズが高まっているが、ヘルスケアを網羅するには一般的に複数の卸を介する必要があり簡単ではない。当社はID事業部を通じ個人薬局と直接取引するノウハウを持っており、それを応用しOTCから紙製品を含む日用品まで、総合的な品揃えをワンストップで提案していく」という。
また3ヵ年計画は、商品力の強化も重点課題に位置付けており、特にメーカーとの取り組み強化と、自社ブランドの確立に注力していく。
メーカーとの取り組みは、NBメーカーとの専売品契約、および共同企画商品の開発をすすめる。具体的に、専売品は富士フイルムと健康食品の独占販売契約を結び、共同企画商品は付加価値型のシャンプー・リンスを発売している。
自社ブランドの確立では、子会社リブラボラトリーズからココナッツオイル配合のダイエットサプリを発売した。今後は機能性表示食品を含めた開発も促進する。同じく子会社の日野薬品工業は、従来の受託製造・販売に加えて、人気キャラクターを配した独自の衛生医療品を投入している。
このほかウイルス対策商品の開発子会社を新設し、二酸化塩素を用いた空間除菌商品の販売を再強化する。「同市場はマーズや鳥インフルエンザの流行とともに、今年の市場は80億円になると予想される。商品ラインアップと価格帯をフルラインで提供できる強みを活かし、Drug.SほかSM、HC、医療機関へ積極的な商談を展開していく」(松井副社長)という。
なお同社は10月1日付で、単独株式移転により純粋持ち株会社体制に移行する。第一段階は新設する大木ヘルスケアホールディングスの直下に現・大木がぶら下がる格好だが、将来的には経営の機動力向上を目的に、卸・メーカーほかの子会社と関連会社を並列する事業体制としていく考えである。
日刊ドラッグストア 2015年6月11日号より抜粋