
「ワクワクドキドキ」感が商品開発のテーマ
イオン(岡田元也社長)は、ローストビーフを厚切りのステーキとして食べる提案に取り組んでいる。3日に発売したトップバリュセレクト「五島塩ローストビーフ/ローストポーク」は、発売から4日間の売上が想定の3倍となり、イオンリテールのローストビーフカテゴリーの売上を1.6倍に押し上げた。商品開発にあたったイオンリテールの土谷美津子取締役は、「プチハレのニーズに対応したご馳走商品が強化ポイントと考えている。そうした商品にはワクワクドキドキが必要だ」としている。

五島塩ローストビーフ/ポークは、脱酸素剤を封入してパッケージングすることで、食品添加物を使用せずに商品化している。賞味期限は冷凍からチルドにした後の6日間となっている。品質保持のために密封容器を採用した分、パッケージには料理をイメージしたシズル感のある画像をデザインした。
ローストビーフは「かたロース」(税込980円)と「サーロイン」(同1490円)の2品、ローストポークは2枚入の「かたロース」(同980円)を商品化した。ビーフとポークで異なるソースを封入し、手軽に楽しめる本格的なメインディッシュとして提案する。開封してそのままでも食べられるが、電子レンジで40秒ほど温める食べ方を推奨する。
食品商品企画本部長の土谷美津子取締役専務執行役員は、「ローストビーフは通常、薄切りにしないと固く感じてしまう。他にはない製法により、今までにない厚切りを提案する。レストランで食べるようなきれいなロゼワイン色を、食品添加物を使用せずに実現するため、脱酸素剤入りの密封パッケージを採用した」という。
ワクワクドキドキが顧客をつくる

土谷取締役は、ハレの日と節約を使い分けるメリハリの効いた消費スタイルに対応することが、二極化対応のポイントという。
「13年のクリスマス商戦から始めたロブスターや、14年のタスマニアビーフを使用したハンバーグ、今月発売した完全養殖の本マグロとローストビーフステーキなど、ハレの日のご馳走メニューを重点的に強化している。生鮮素材の開発には時間が必要で、ようやく増えてきたところだ。今後もこういった商品を順次、発売していく」(同)
ご馳走メニューの開発では、顧客に新しい発見や楽しさを感じてもらうことを重視する。土谷取締役は、「ワクワクドキドキ」が不可欠という。「その商品にワクワクドキドキするかは、開発のあらゆる段階で確かめている。商品そのものは自らのよさをしゃべってはくれないので、パッケージの見た目からかっこよさを伝える必要がある。かっこよさは陳列方法でも違ってくるため、売場の工夫も欠かせない」(同)
商品そのものの魅力と、魅力的に見せる工夫を重視する発想は、13年2月まで社長を務めていたイオンファンタジーで得たという。
土谷取締役は、「室内遊園地こそワクワクドキドキを感じてもらえなければ売上につながらない。UFOキャッチャーのグッズがどのように陳列されているかは決定的に重要だ。食品売場も、お客さまに来店していただき、買物を楽しんでいただくためにはワクワクドキドキが必要と思う」としている。
日刊流通ジャーナル2015年6月12日号より抜粋