日本チェーンドラッグストア協会(JACDS、青木桂生会長)の宗像守事務総長は6日の会見で、厚労省の要指導・一般用医薬品部会が了承したスイッチOTCの新スキームについて、実用化の製造販売の承認段階で止まっており、流通や販売、販売後の枠組みが欠けている点を指摘した。JACDSは日本OTC医薬品協会と、生活者に実効性があるスイッチOTCの活用を話し合う。また、同省が進める健康情報拠点薬局が、保険の使用を前提とする点を批判し、ドラッグストア業界は独自の社会的機能を果たすと語った。
厚労省の要指導・一般用医薬品部会は5月29日、「ロキソニンS」の外用剤のスイッチを審議した後、医療用医薬品のスイッチに関する新たなスキームを了承した。
2008年に導入した現行のスキームは、日本薬学会が選定した候補品目をベースに、関係医学会の意見を聴取し、薬事・食品衛生審議会薬事分科会の一般用医薬品部会で議論をしてスイッチ候補成分を公表している。
新スキームは、望月眞弓委員(慶応大学薬学部部長)の提案を元に、多様なニーズの反映と透明性の確保、承認審査や申請資料の見直しを図った。
最初の候補品目の選定は日本薬学会等に加え、消費者や関連団体からの要望も取りまとめる。新たに、医学・薬学の専門家や消費者などで構成する「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(仮称)」を立ち上げ、公開で議論するほか、ヒアリングやパブコメも実施する。企業からの承認申請が出た場合、新たに添付文書の理解度を調査する。
宗像事務総長は新たなスキームについて、「消費者のニーズや意見を取り入れる姿勢は評価できる。ただ、医薬品医療機器等法には無い余計なルールが盛り込まれ、スイッチが阻害されることや、生活習慣病薬を出さずに既存薬効でのスイッチにとどまる懸念がある」と指摘した。
さらにスキームが、実用化の製造販売の承認段階に止まっている点に触れ、「本来はスイッチの決定過程だけでなく、生活者へのメリットや、リスクの低減等が盛り込まれるべきだが、今回のスキームはメーカー・卸・小売が分断されこの視点がない」と語った。これを受けJACDSは、日本OTC医薬品協会と連絡を取り、スイッチOTCの活用に向けた取り組みを協議する予定である。
日刊ドラッグストア 2015年6月12日号より抜粋