日本生活協同組合連合会(浅田克己会長)は12日、都内のホテルで通常総会を開催し、15年度の事業方針を決定した。商品政策を重点課題に掲げ、PB「コープ商品」を全面刷新するほか、生協として初となる全国規模の統一販促を実施する。店舗事業は生鮮・惣菜強化の方針を明確化し、不採算店の閉鎖を中心とした取り組みから改装・新設に移行して積極的な事業展開を目指す。宅配事業はインターネットによる利便性向上、取扱商品の拡充など、機能強化を進めることでさらなる優位性を発揮する。
今期はPB「コープ商品」を中心とした商品政策を重点課題に掲げる。コープ商品はレギュラーラインと3つのサブブランドに再編し、全体を統一感あるデザインに変更する。6月1日、レギュラー商品530アイテムをリニューアルし、サブブランドの第1弾で「コープクオリティ」8アイテムを発売した。類似商品の集約を進めながら3年で全体を2割減の3200アイテムに絞り込む。単品あたりの結集度を高め、売上は現状の約3200億円を維持する。
14年度は過去最高の11生協の店舗事業が黒字
日本生協連の推計によると、大学生協や職域生協などを含めた全国生協の14年度の組合員数は1.5%増の2773万8000人で、総事業高は0.3%減の3兆3427億0800万円だった。
132の地域生協の総事業高は0.5%増の2兆6990億9500万円、経常剰余は26.2%増の431億7500万円、経常剰余率は1.60%(0.33P増)で、2期連続で増収増益を達成した。組合員数は2058万5000人(2.3%増)となった。
店舗事業は、供給高が1.3%減の8685億0600万円、経常剰余率は0.19P改善しマイナス1.91%だった。生鮮・惣菜強化の店づくりを志向し、全国レベルで商品開発や人材育成などの成功事例の共有化を進めた。61生協中、過去最高の11生協が黒字(8生協増)となった。全国で18店を新設、7店を閉鎖し、総店舗数は991店になった。不採算店の閉鎖を中心とした取り組みから、改装や出店にシフトしている。
宅配事業は、供給高が1.5%増の1兆6956億2300万円、このうち個配は4.5%増の1兆1222億4000万円で、経常剰余率は0.33P増の3.32%だった。新規会員の獲得が進み、客数が増加したことに加え、生鮮の相場高で客単価がアップした。平日5日間、弁当を宅配する配食事業は48生協で展開し、1日あたり10万食を突破した。

なお、日本生協連の供給高は0.9%減の3747億3500万円、経常剰余金は3.6%増の41億9900万円だった。米の単価ダウンやNBの仕入代行が減少し減収となった。コープ商品は消費増税対応で、全4000アイテムの45%にあたる1800アイテムを強化品目とし、量目や原材料の見直しによって価格を維持した。また20億円の対策費を原資に高頻度商品を中心に価格対応を強化したことが奏功し増益となった。
浅田会長は、14年度を振り返り次のように語った。
「消費増税で可処分所得が減少し、組合員の暮らしは厳しくなっている。その中で、コープ商品の見直しなどが奏功し、地域生協の総供給高は前年をクリアした。組合員の暮らしと加盟生協の事業経営に貢献できた。生協の事業を牽引する宅配事業は毎週1回、配食事業は平日5日、定期的に人的接触がある事業特性を活かし、全国の42%にあたる745の地方自治体と高齢者等の見守り協定を締結した。地域になくてはならない組織になるため、15年度までの中期3カ年計画で事業経営の確立に取り組んでいる。店舗事業の再構築、宅配の取扱アイテム拡大など、各事業の成長に向けた手応えが出てきた。15年度は積極的に事業を拡大しながら経常剰余率2%を確保できる体制を構築したい」
日刊流通ジャーナル2015年6月16日号より抜粋