アメリカの有力百貨店3社の2015年第1四半期決算は、天候不順や観光客の購買力低迷などで苦戦し、減益ないし赤字となった。ノードストローム(Nordstrom)は増収減益、メーシーズ(Macy's)は減収減益、J.C.ペニー(J.C.Penney)は依然として赤字だが、赤字幅は圧縮されている。なおメーシーズは、先に買収した化粧品専門チェーンの出店を加速しており、J.C.ペニーも、フランスの化粧品専門店「セフォラ」(Sephora)のコーナー展開を加速させている。
ノードストローム 先行投資負担で減益
「ノードストローム」の2015年第1四半期決算(5月2日締)は、オンラインビジネスの売上が好調だったが、情報システムなどの先行投資負担で経費率が悪化したことで増収減益となった。
売上高は9.8%増の31億1500万ドル、支払利息を含む税前利益(EBIT)は7.5%減の2億4500万ドル、純利益は8.6%減の1億2800万ドルだった。
荒利益率は0.1P増の35.9%とやや上昇したが、経費率は1.6P増の29.6%と悪化した。この結果、EBIT比率は1.4P減の7.9%、純利益率は0.8P減の4.1%と収益性は低下している。
既存店は4.4%増で、うちノードストロームのフルライン店が0.5%増、ノードストローム.comが4.2%増となっている。アウトレットストアのノードストローム ラック(Nordstrom Rack)の既存店は0.2%減となっている。
メーシーズ 天候不順などが影響
「メーシーズ」の2015年第1四半期決算(5月2日締)は、既存店が苦戦し、経費率も悪化したことなどで減収減益となった。
売上高は0.7%減の62億3200万ドル、営業利益は7.7%減の4億0900万ドル、純利益は13.8%減の1億9300万ドルとなった。荒利益率は0.1P増の39.0%、経費率は0.6P増の32.4%となっている。この結果、営業利益率は0.5P減の6.6%、純利益率は0.5P減の3.1%と収益性は低下している。
既存店は0.7%減で、うち直営店は0.1%減、ライセンス店は0.7%減となっている。期中に、買収した化粧品専門店チェーン、「ブルーマーキュリー」(Bluemercury)ストアを4店新設している。
テリー ラングレン(Terry Lundgren)会長兼CEOは、「西海岸の港湾ストライキや天候不順が影響して業績は苦戦した。また大都市のフラッグシップストアも、観光客の購買力減少の影響を受けた。
J.C.ペニー 既存店堅調で赤字幅圧縮
「J.C.ペニー」の2015年第1四半期決算(5月2日締)は、既存店が堅調に推移したことなどで赤字幅が圧縮された。
売上高は2.0%増の28億5700万ドル、営業損失は7500万ドル(前年同期は2億4700万ドルの損失)、純損失は1億6700万ドル(同3億5200万ドルの損失)となった。荒利益率は、婦人アパレル、メンズ、ホームが好調で3.3P増の36.4%と上昇し、経費率も2.8P減の39.1%と良化している。
なお5月1日に、フランスのグローバル化粧品専門チェーン、「セフォラ」のコーナーが25ヵ所、J.C.ペニー店内に開設された。これで同コーナーは合計515ヵ所になった。
ミロン ウルマン(Myron Ullman)CEOは、「売上、荒利が改善され、生産性向上に向けた新たなギアが入った」と語る。通期の業績見通しは、既存店で4~5%増を見込んでいる。
日刊流通ジャーナル2015年6月17日号より抜粋