セブン―イレブン・ジャパン(井阪隆一社長)は24日、カウンターコーヒー「セブンカフェ」の新メニュー「アイスカフェラテ」の展開を九州地区から始める。ドリップ式の既存マシンを使用し、粒状のミルクアイスと氷が入った専用カップに注いで仕上げる。女性を中心にニーズのあるミルク入りコーヒーを既存のシステムで実現するため、江崎グリコのアイス加工技術を導入した。ホットカフェラテの商品化には別のアプローチが必要という。

ミルクを粒状アイスにする技術で実現
セブンカフェが全店導入を果たすまで、1970年代からさまざまなカウンターコーヒーを実験してきた。01年にはエスプレッソ式のマシンもテストしたが、使用する牛乳の品質保持や廃棄ロスの観点から中止した。日本人の嗜好にはエスプレッソよりもドリップ式が合っているとの判断もあった。その後ドリップ式を選択してセブンカフェの成功につなげたものの、エスプレッソ式で一般的なミルクメニューの開発を断念したわけではなかった。
商品本部長の鎌田靖取締役常務執行役員は、「カフェ専門店を見ても、女性を中心にラテの需要は高い。おいしいドリップコーヒーを追求したセブンカフェのこだわりや、お客さまが慣れている現状のマシン操作を変えることなく、独自のアプローチでコーヒーとミルクのベストバランスや濃い味わいを目指した」としている。
冷たいミルクコーヒーの製法には、あらかじめコーヒーを冷やしておく方法と、淹れたてのホットコーヒーを氷に注ぐ方法の2種類がある。一方はコーヒーを冷やす工程で香りが失われ、他方は淹れたての香りは保てるものの、氷が溶けることで味が薄くなる。新商品には江崎グリコのアイス技術を導入することで、淹れたての香りと濃い味わいを両立させた。
ミルクを凝縮して粒状のアイスとし、専用カップの氷の上に盛る。江崎グリコはこのアイスのために製造ラインを新設した。氷は従来のアイスコーヒーと同じ小久保製氷が製造したもので、江崎グリコの工場に氷を運んでカップにパッケージングする。専用カップはミルクの品質保持のため、光を透過させない黒色とした。レギュラーサイズのみの展開で、価格は税込180円と設定する。
「アイスミルクには少し砂糖が含まれている。甘さが足りない場合は、マシンに備え付けのアイスコーヒー用シロップで足してもらう」(鎌田取締役)
ドリップ式の可能性を追求

アイスカフェラテは現状のシステムをそのまま活用して商品化したが、ホット商品の実現には別のアプローチを検討している。鎌田取締役は、現時点でエスプレッソ式のマシンを導入する考えはないという。
「嗜好の変化に対応することが重要なので、エスプレッソが日本人の主流になるようならマシンの導入も考える。現在の環境では最もニーズのあるドリップ式でいく」(同)
カフェラテに限らず、カフェメニューのバリエーションも現状のドリップコーヒーをベースに考える。
「ブラックコーヒーを注いでおいしくなるものができれば発売する。できなければ無理に商品化しない。アイスカフェラテの技術を使ってその他のフレーバーも可能ではあるが、具体的に考えるのは供給体制を確立してからになる。基本戦略はドリップコーヒーのおいしさを追求することだ。今は全国で同じコーヒーを展開しているが、関西には独自の嗜好もある。関西のコーヒーが現状のままでいいかは検討しているところだ」(同)
日刊流通ジャーナル2015年6月23日号より抜粋