オールジャパンドラッグチェーン(AJD)は19日の総会で、杉山貞之本部長の再任を決めた。今年度は「VCへの原点回帰」をテーマに共同販売機構としての役割を再強化し、加盟社総年商2兆円弱の規模のメリットを最大化する。商品面では「コアグループ」と呼ばれる地域グループとメーカーの関係を深め、開発力と販売力を高める。
任期満了の改選期にあたる今年は、本部長以下の新体制の移行が注目されていた。19日の総会では、2012年より本部長を務める杉山氏、同じく副本部長の岸本一男、寺西豊彦の両氏が再任された一方、平野健二氏が副本部長の職から外れた。
また同日のオールジャパンドラッグ㈱の株主総会で、前代表取締役社長の杉山氏が代表取締役会長兼社長、前取締役副社長の岸本氏が代表取締役副社長となり、前代表取締役会長の江黒純一氏および前取締役副社長の平野氏が取締役に退いた。
加盟社を規模や地域でくくった全9グループのうち8グループの長は、若返りや組織単位の変更で入れ替わった。サンライズグループは濱野元信氏、中部コアグループは渥美文昭氏、西共グループは貴島浩史氏、DC-8グループは木元伸一氏、北海道・東北グループは米城耕太郎氏、関東グループは柳澤光徳氏、東京グループが宮原進司氏、近畿グループは浦野修明氏(再任)、九州グループは辻幸徳氏がトップとなった。
「1人ではできないことを皆の力で」という理念のもとにAJDが発足したのが1970年。今年は創設45周年の節目にあたる。発足時の加盟社数は53社で、ピーク時の97年は246社にのぼったが、その後の統廃合等により現在の加盟社数は122社に縮小している。それでも加盟社の総店舗数は5000店以上あり、加盟社総年商は1兆9600億円、うち物販が1兆6700億円、調剤が2700億円(処方箋枚数2700万枚)の規模にのぼる。
AJDは今年度のテーマに「原点回帰」を掲げた。杉山本部長は、「(加盟社は)AJDを必要とする企業の集まりということを再度認識させ、各社が与えられた権利と義務を全うするよう求める。総年商2兆円に迫る規模を活かし、力とまとまりをビジネスに反映させるべく努力する」と語っている。
今期の方針は、「共同販売機構として役割を果たす」「新規ビジネスへの取り組み」「次世代人材の活用」の3つである。共同販売機構の役割では、商品開発のスピードアップを第一の課題とし、前述の9グループの中でも特に、地域でまとまるコアグループ(4グループ)単位の取り組みを強化する。
具体的にサンライズ、中部コア、西共、DC-8の各グループの長は、開発商品の意見集約とロットの取りまとめをおこない数値責任も負う。販売目標の設定から販促その他の条件交渉も、コアグループと取り組みメーカーとの連携の中ですすめていく。
全日食との協業もステップアップ
新規ビジネスとして、業務提携する全日食との取り組みのステップも1段上げる。「食品強化型MDのパッケージを構築し、その活用を促すスキームを加盟社に提供したい。またドラッグコンビニ、調剤コンビニといった業態の調査を通じ、新たな業態のモデルを研究していく」(杉山本部長)という。
調剤分野では、処方箋枚数や調剤売上の規模を背景に、医療用医薬品や調剤薬局向け商品、備品等の受託体制をつくり、新規ビジネスの可能性も探る。
次世代人材の活用では、特に医療介護委員や顧客創造委員での情報の共有を徹底し、委員会活動を活性化しながら、新業態の研究などに落とし込む。そのほか国内外でおこなう各種セミナーも、次世代の経営者層を育成する場として活用していく。
日刊ドラッグストア2015年6月26日号より