協同組合セルコチェーン(佐伯行彦理事長)は4月、加盟企業の研修施設として東京都国立市に「セルコクリエイティブセンター」を開設した。さえきの営業本部用の建物を一部使用しており、実技のためのA棟と、座学を中心とするB棟に分かれている。セルコの研修セミナーは、店長向けや各部門の主任を対象としたものなど9つのコースを用意する。また、加盟各社それぞれの社内研修や、商品開発のためのテストキッチン用の施設としても活用していく。

加盟企業の教育サポート、仲間づくりを促進
セルコチェーンは現在、48企業・477店が加盟し、グループ年商は約5300億円となっている。加盟企業の7割が年商100億円未満の中小SMのため、ボランタリーチェーンの機能として従来から教育制度の充実に取り組んできた。昨年まで使用していた施設に代わるものとして、さえき営業本部の建物内に新研修センターを開設した。
施設は、営業本部の2階部分に設けたA棟と、別棟で倉庫として活用していたB棟に分かれる。A棟のフロア面積は57坪で、主に実技の研修に使用する。包丁を使う作業場のほか、フライヤー、スチームコンベクションなどの調理機器を備える。B棟は51坪で、レジ4台を設置した実技スペースと座学用のスペースに分かれる。
研修セミナーは、店長向けのマネジメントセミナーをはじめ、生鮮・惣菜の主任クラスを対象としたもの、グローサリー部門、女性リーダー育成、レジ部門の指導者養成セミナーの9コースを設けている。
教育セミナー事業を担当する鈴木俊夫営業部長付は、「年間で350名ほどの受講者が参加する。とくに生鮮・惣菜などの技術指導セミナーは人気で、今年も定員を上回る参加希望があった」という。各コースは2〜3回に分かれ、各回とも1泊2日でプログラムを組む。参加費用は宿泊費・食費込みの実費に近い金額に抑える。
日本セルコ営業部長の東小薗寛取締役は、セルコチェーンが目指す教育プログラムについて次のように語っている。
「コンサルタントなどの講習だけでなく、加盟各社の優秀な社員に講師をお願いすることもある。鮮魚に強いチェーン、売場の見せ方に定評のあるチェーンなどそれぞれに特色があり、そうした講座は実際のノウハウを学べるチャンスとして人気がある。研修セミナーもセルコの絆づくりの一環ととらえており、教え合うことで仲間意識を高めている。参加者は日々、忙しい業務に追われている。1泊2日の非日常の中で、同じ職種で頑張る仲間を企業の違いを越えてつくることが大切と考えている」
施設はセルコの研修に限らず、今後は加盟チェーン個々の社内研修や、テストキッチンとしても活用していく。
「商品開発をするうえで、部門の担当者を集めるにはさまざまな制約がある。施設の厨房を使用し、実際につくりながら決定するための場を提供したい。センターの名称をクリエイティブセンターとしたのには、そういった意味もある。加盟企業それぞれの目的で使ってもらえるよう、教育研修センターを事業として整備していく」(東小薗取締役)
日刊流通ジャーナル2015年7月1日号より抜粋