
日本調剤(三津原博社長)は2009年から面対応薬局の開設を促進している。同薬局は開設から4~5年後に収益性が改善し、現在は同社事業全体の成長をけん引している。このほど面対応薬局の1つ、「新町田薬局」(東京都町田市)を取材した。同店の特徴と併せ、全社的に取り組みを強化するGEや在宅、物販の状況について聞いた。

日本調剤は、門前や医療モール内の薬局に加え、面対応薬局を展開している。特定の医療機関の処方箋に依存しないため、黒字化はやや時間がかかるが、開設から4~5年が経過した店舗の収益性が向上している。1店あたり売上高は2012年度と比較して、門前や医療モール内の薬局が微増であるのに対し、面対応薬局は13年度が48%増、14年度が81%増となっている。
「日本調剤 新町田薬局」は2010年6月、JRと小田急線が乗り入れる町田駅から約500m北の商業地域に開設した。処方せんは道むかいの皮膚科や、その周辺にある内科や精神科などを応需するほか、都心の病院から持ち帰る処方せんにも対応する。認知度の高まりとともに枚数が増え、現在は2700品目を超える医薬品を在庫している。
管理薬剤師の天野敬主任は、「新町田薬局」が好調な理由として、在宅調剤が支持されていることと、待ち時間が短いという特徴を指摘している。
在宅調剤は3施設で実施し、1週間で約50枚の処方箋を応需している。「至急の訪問要請も多いなか、限られた人数でオペレーションを維持しながら、在宅患者の要望に応えている。高齢者も多いが、看護師と連携する服薬指導が評価されている」という。
また待ち時間について同店は、患者の平均待ち時間を月毎に算出し、長時間化の傾向がある場合は、エリアマネージャーと人員配置やオペレーションの問題点を洗い出し改善している。特に門前に通っていた患者から好評だという。

業務効率支える社内システム
面対応薬局は2010~11年の大量開設の時から、在宅調剤の拡大を想定し、全自動散薬分包機など、当時の門前薬局以上に設備の充実を図ってきた。また電子薬歴と音声入力システムは全店舗に導入している。音声入力は、薬歴作成時間を短縮し、入力作業が不得意な薬剤師にも配慮している。機器が薬局の専門用語も正確に認識するよう、システムベンダーと協力して精度を高めている。
薬の調製をするには薬剤師の静脈認証が必要で、なりすましを防止する。調剤室は、薬剤師のみ入室可能で、他のスタッフはピッキングもできない。なお、薬剤師は白衣、調剤事務は薄い水色の外衣を着ており、ガラス張りの調剤室での作業の様子が一目で判る。
日刊ドラッグストア2015年6月29日号より抜粋