
マルエツ(上田真社長)は13、14年度と2年連続で既存店が前年をクリアし、今期も好調を持続している。生鮮・デリカが牽引しており、相場高による客単価アップとともに、客数も増加している。広くニーズをとらえるため、売場のくくりやクロスMDを含めたゾーニングの最適化に取り組んだことが奏功している。「14年度以降、中価格帯のボリュームが減少する一方、ワンランクアップ商品、上質商品、低価格商品が伸長している。現状は二極化ではなく多極化している」(池野賢司取締役常務執行役員商品本部長)という。
既存店は13年6月以降、消費増税の反動があった14年4月を除き今年5月まで前年をクリアしている。今期は客数アップに取り組んでいる。売上高の指標となるレジ通過客数だけではなく、Tポイントカードで把握できる顧客の増加を目指す。SMとして地域密着を志向し、顧客の固定化による狭商圏・高来店頻度を追求するが、首都圏の特性で顧客の入れ替わりは避けられないことから、独自の指標として重視する。
5月の既存店は7.1%増(客数3.3%増、客単価3.7%増)だった。「新たなお客さまを固定客化するうえで、品揃え、価格、鮮度、接客などの基本をベースに、売場のくくりやクロスMDを含めたゾーニングの最適化が重要になる」(池野取締役長)
自慢のコーナー 絶対的価値を追求
マーケットの変化に対応したカテゴリーとして、各部門で品揃えの幅と奥行き、値ごろ感を追求した「自慢のコーナー」を展開している。生鮮強化を基本に、簡便・即食型商品の充実に取り組んでいる。簡単サラダやトマト、焼肉、お造り、フレッシュデザートなど18コーナーのほか、精肉のオリジナル商品や、鮮魚の干物など26カテゴリーを育成している。
ミニトマトはパック販売を原則とする。「バラ販売はほしいときにほしい分だけ量目を自由に選べ、売場が華やかになる。理屈のうえでは正しいが、実態は鮮度保持が難しく、商品によくない。流行を取り入れたい気持ちはあるが、本質的にお客さまのためによいことを追求すると、パック販売の方がふさわしい。他との比較ではなく、マルエツとして絶対的な価値創出の視点で売場づくりを深掘りする」(同取締役)
カットサラダのバスケット分析の結果、パック商品は圧倒的に弁当など惣菜と同時購入されている。袋ものはドレッシングやパンなどとの同時購入が多かったため、用途別で袋ものを青果、パック商品を惣菜に限定した。そのうえで、袋ものはサラダにとどまらず、野菜炒め用やボイル野菜など商品開発を進め、品揃えを拡充している。USMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)のミーティングで、データとともに紹介し、袋ものを惣菜で展開するとチャンスロスがあることを指摘したという。
精肉でレンジアップやフライパン調理の簡便商材を集積した「お肉DEクッキング」はPCが効果を発揮している。「一例で、たれ漬け肉(本体1480円)を20パック商品化する場合、店舗では1時間強かかるのに対し、PCでは20分で完了する。マンアワーの効率化に寄与しており、商品開発も進んでいる」(同)

日刊流通ジャーナル2015年7月13日号より抜粋