ローソン(玉塚元一社長)は、ナチュラルローソンの出店を加速し、18年度に300店舗体制を目指す。同フォーマットで展開する商品は、通常のローソンよりも健康コンセプトを明確に打ち出す。女性を中心に管理栄養士の有資格者などが商品開発を担当し、ニーズの見込めるものは通常店に拡大するケースも増えている。玉塚社長は、ナチュラルローソンを健康関連商品のラボラトリー(実験室)と位置づける。「この役割を担い続けるうえで、300店舗くらいが適正と考えている」(玉塚社長)

商品開発の実験場としての機能が前提

01年7月に1号店を開設したナチュラルローソンは、首都圏の都心立地を中心に、女性をターゲットとした独自のMDを磨いてきた。品揃えの約4割が通常店と異なり、利用客の構成比は男女半々という。総店舗数は5月末で118店で、FC比率は約7割となっている。既存店は13年10月から前年クリアを継続している。
今期末には133店とし、その後は年間60店の純増ペースにより18年度の300店を計画する。
玉塚社長は、300店舗体制は関東エリアだけで構築するという。
「名古屋や大阪に出る可能性もなくはないが、300店舗のプランは関東エリアだけで考えている。関東エリアのマーケットは規模として重要なだけではない。とりわけ東京23区の都心部では、社会構造の変化が全国に先駆けて如実に現れている。高齢化、働く女性の増加、世帯の少人数化などで生じるニーズに対し、当社がどのように変化対応していくか、関東での取り組みが全国展開の基礎になっていく」(玉塚社長)
全国商品のヒントをつかむ
ナチュラルローソンの拡大は、以前から検討課題のひとつだった。ローソン全体で健康基軸のミールソリューションとセルフメディケーションを追求するなか、2年前には通常店の大規模な転換により3000店を目指すプランもあった。今回の300店計画は、フォーマットの独自性をさらに伸ばしつつ、MD上の成果を通常ローソンにも拡大していくことを前提としている。
ナチュラルローソンから通常ローソンに広がった商品は既にいくつも事例がある。また、12年に発売したブランパンや、14年に展開を始めて現在28品に拡大した健康菓子、今年スタートして「グリーンスムージー」などのヒット商品を生んだチルド飲料など、ナチュラルローソンの名称を商品ブランドとして活用しているシリーズも増えている。
「100店規模のナチュラルローソンには、1万2000店規模の通常店にはないラボラトリーとしてのメリットがある。機動的であり、希少性の高い商品も扱いやすい。300店くらいまでなら、このメリットを発揮して新しい挑戦がどんどんできる。いっそう高まる健康ニーズに対し、ナチュラルローソンから全国で展開できるヒントを探していく」(同社長)
日刊流通ジャーナル2015年7月15日号より抜粋