
スギホールディングス(杉浦広一会長)は来年12月、創業40周年を迎える。今期第1四半期も堅調に推移したが、調剤部門の売上、利益は2桁増と依然として好調に推移している。同社がめざす方向は、地域で医療が完結できる地域医療対応型の「かかりつけ薬局」である。これらの機能を徹底して追求している拠点店舗は現在、中部地区で5店だが、これを関西、さらに関東にまで展開地域を広げ、将来的に100店体制をめざす。

ーー「かかりつけ薬局」がいま改めて求められていますね。
杉浦会長 当社は、各種病院の様々な科が発行する処方箋調剤薬を一元管理するほか、在宅調剤にも対応していく。さらに少なくとも24時間は薬剤師が電話応対できるという、「かかりつけ薬局」のあるべき姿を追求している。だがこの方向をめざすDrug.Sはかなり少数である。
これに対して、食品を強化し、医薬品、化粧品をついで買いさせるDrug.Sの方向がある。また都市型の主要立地で、医薬品、化粧品を中心に販売するDrug.Sの方向もある。だがこの2者は共に地域包括ケアを担うことは難しい。また大型門前薬局は、逆に物販と面分業に対応することが難しい。この意味で今年は、Drug.S業界は「第2ステージ」と呼ぶに相応しい新しい時代に入ったと見ている。
ーー時代の流れは、スギ薬局にとって追い風になっているのではないでしょうか。
杉浦会長 その通り。これからの時代は我々にとって新たな成長にむけた絶好のチャンスであると位置付けている。食品を中心とするDrug.Sのように売上が目立って増えるわけではないが、徐々に地域包括医療における当社の存在価値は高まっていくと考えている。
理系女子の人気就職先で17位に
ーー薬剤師の採用が一般的にますます難しくなっていますが。
杉浦会長 今年4月は200名の薬剤師を採用した。薬剤師の質が問題となっているが、当社の場合は、平均以上の能力を持つ人材を採用しており、即戦力になっている。なお国家試験に不合格だった人は一般職として採用し、次回の受験をめざすようにさせている。
——このほど、ある大手日刊紙の調査で、理系女子に人気のある就職先として、スギHDが17位にランクされました。資生堂、花王、コーセーといった有力企業と伍して、小売業ではスギ薬局が唯一ランク入りしています。人気のある理由は何だと思いますか。
杉浦会長 産前産後の休暇制度がしっかりしており、仕事と育児の両立を会社全体でサポートしている点が評価されているのだと思う。また職場も、女性が働きやすい環境になっている。なお当社では5年前から、組合(UAゼンセン スギ薬局ユニオン、小澤政道委員長)が、杉浦昭子副社長のアドバイスも受けて、「仕事と育児の両立支援ガイドブック」を発行している。女性管理職も増えている。
日刊ドラッグストア2015年7月13日号より抜粋