イオン(岡田元也社長)はGMS改革に向け、組織改革および企業再編を進めている。イオンリテールは地域カンパニーへ権限と人材を移管し、あわせて機能会社のイオン商品調達とイオントップバリュの衣料品・住関連部門を吸収した。商品や売場づくりの変革につなげ、新しい総合業態の確立を目指す。ダイエーは食品に特化する新業態のフードスタイルストア1号店の赤羽店(東京都北区)が好調にスタートし、8月の三宮駅前店(神戸市中央区)でさらなる進化を図る。

GMS改革は現場への権限委譲や、PBを含めた商品改革などを柱とする。イオンリテールは6つのエリアカンパニーへ権限委譲し、本部は企画に特化し店舗支援の体制を明確化した。新しい総合業態は専門店化する前のカテゴリーの中から、品揃えの幅と奥行きを追求したコーナーを開発し、それらを集積する「イオンスタイル」へ進化させる。現状で133のカテゴリーを開発し、改装を機に既存店へ取り入れていく。
イオンリテールの社長を兼務する岡崎双一執行役GMS改革担当は、マスマーケットをターゲットとした店づくりからの脱却が必要と指摘した。
「カテゴリーに集中し、品揃えの幅と奥行きを追求した専門店が台頭しているように、特徴のある商品を提案しないと多極化したニーズに対応できない。イオンスタイルは専門店として独立する前のカテゴリーの中から深掘りしたユニットをいくつも開発して売場に取り込み、従業員の配置などサービス環境を整えた業態で、従来型GMSとは異なる。5月の株主総会のときに45だったユニットは現在133に増えた。店舗の特性に考慮しながらセレクトして既存店に導入していく」(岡崎執行役)
5月までに大小合わせ24店を改装した。改装前後のそれぞれ60日間の比較で、売上は平均17.3%伸長した。投資規模別で3億円以上の7店は29.6%増、1億円以上の8店は11.5%増、1億円未満の9店は8.7%増となっており、1億円以上の15店中14店で収益が改善した。小規模なものを含め、今期中に全店で活性化を実施する。
商品改革は本部から地域カンパニーの商品部へ900名を配置転換し、地域商品の開発・仕入を強化している。あわせて、価格訴求中心からカテゴリーや催事を主体とした販促へ転換している。
柴田英二執行役商品担当は、「以前はグループの集中化によってバイイングパワーを高め、価格訴求を重視してきた。ただ、14年度は消費増税に対応して一律割引を含めた価格強化型の販促を進めたが、計画通りにならなかった。これまでとは異なる基準でMDを再構築しなければならない。地域商材の開発は回転率の高い食品が先行している。エリア別・店別で最大限対応しても取扱品目数の5%程度にとどまるが、売上構成比は最大で15%、平均10%になる。5%の商品を集める手間を惜しまず品揃えしていく」と語った。
日刊流通ジャーナル2015年7月16日号より抜粋