
増税後の低価格シフトに対応
イオン(岡田元也社長)が展開するビール類新ジャンルのPB「トップバリュ バーリアル」は、消費増税後、好調に推移している。14年度はアルコール分5%のスタンダードタイプと「糖質50%オフ」(アルコール分4%)の伸長に加え、11月に「リッチテイスト」(同6%)を追加したことで約2倍の売れ行きを見せた。
今年は4月にスタンダードと糖質オフをリニューアルし、350mlの販売価格を従来の税込88円から本体価格88円に変更した。税込では7円の値上げになるが、販売数量は既存店ベースで20%増と好調だ。
イオンリカー商品企画本部長の佐藤日昭取締役は、「増税後にいっそう顕著になった消費の二極化でプレミアム商品が伸びる一方、ロープライスの需要も高まっている。市場全体をみると新ジャンルは最も苦しいカテゴリーだが、NBよりも低価格なPBにスイッチするユーザーが増えている。リニューアルでは、今のトレンドに合わせて味覚を変えた。それがお客さまの拡大につながっている」という。
スタンダードタイプは、使用する麦芽を3種類に増やすことで味わいを深め、ホップの投入を2回に分ける製法で香りを高めた。醸造後の熟成期間も従来より長くしている。
前述のように今期は既存店ベースで20%増となっているほか、ウエルシアHDやダイエーなどでの取り扱いが増え、トータルの販売数量は約2倍となっている。
「糖質オフの販売数量は、スタンダードを上回るほどになっている。現在は糖質50%オフだが、機能面をさらに強化することも検討している。PBの売上は、ビール類全体の約2割を占める。カテゴリーに与える影響が大きくなっており、今後もNB同様、リニューアルまたはラインアップ拡大を適切に進めていく必要がある」(佐藤取締役)
プレミアム対応には輸入ビール拡充
ビール類における消費の二極化のうち、プレミアム需要に対しては輸入ビールの拡大を進める方針だ。GMSのリカー売場では、冷ケースと常温棚を組み合わせて輸入・クラフトビールコーナーを展開している。
「今後はイオン限定、または日本初登場となる輸入ビールを数多く導入していく。来年春には現在の輸入ビール売場を2倍くらいに広げたい」(同取締役)
日刊流通ジャーナル2015年7月22日号より