「アクシアル リテイリング」の原和彦社長はこのほど、本紙が代表幹事社となっている「流通報道記者会」(加盟24社)の国内研修セミナーで講演し、2015年度を初年度とする中期3ヵ年計画の概要や、「フレッセイ」統合後の取り組みについて語った。中期計画では、150億円を投資し、13店を新設、店舗数を130店として、売上高2290億円の実現をめざす。来年秋にはフレッセイが群馬県前橋市に新物流センターを開設する。以下は原社長の講演要旨である。

アクシアル リテイリングは2013年10月、原信ナルスHDとフレッセイHDの経営統合により誕生した。原信ナルスは現在、新潟、富山、長野3県に75店、売上高1434億円、フレッセイは群馬、栃木、埼玉の3県に49店、売上高694億円の規模である。
2015年3月期決算は、売上高が23.3%増の2126億1100万円、経常利益が17.7%増の67億8000万円、経常利益率3.2%となっている。
アクシアル(Axial)とは「軸の」という意味で、流通業の再編成時代にあって、その軸の一つになりたいという願いを込めている。
2006年10月、原信とナルスが経営統合して原信ナルスHDが設立され、売上高が1000億円を超えた。そして2013年10月のアクシアル リテイリングの設立で売上高は2000億円を突破した。財務体質、収益性共に、ある程度の水準を維持している。現状では、原信ナルスの経常利益率は3.6%、フレッセイは2.3%となっている。
今期は、売上高で2.5%増の2180億円、経常利益で1.8%増の69億円、経常利益率3.2%を見込んでいる。グループ別では、原信ナルスが売上高で3.2%増の1480億円、経常利益で5.6%増の54億円、経常利益率3.6%、フレッセイが売上高で2.2%増の710億円、経常利益で6.6%減の15億円、経常利益率2.1%を見込んでいる。
既存店は上期で0.3%減、下期で0.4%減、通期で0.4%減と予想している。第1四半期の状況は、4月が6.5%増と好調で、6月まで100%をクリアしている。
グループの経営ビジョンは、優良な確固たるリージョナルチェーンという意味の「アドバンスド リージョナル チェーン」をめざすことである。これを当社が原信時代の1980年から取り組んでいる「TQM」(トータル クオリティ マネジメント)を経営の根幹として、日本一のサービスの実現、SSM200店の達成、信頼される企業風土の確立をめざしている。
惣菜PC機能も拡充
2015年度を初年度とする中期3ヵ年計画では、3ヵ年で150億円を投資し、13店を新設、7店を閉鎖し、店舗数130店、売上高2290億円をめざす。
中期計画の大きな柱がロジスティクスの整備である。来年秋には、フレッセイの現本部前に敷地面積4800坪を確保し、延床面積2400坪の新物流センターを開設する。投資額は20億円を計画している。また惣菜、精肉、鮮魚のPC機能を担う子会社「ローリー」の機能を拡充する。
2013年秋、新潟県長岡市に敷地面積7000坪を確保して、在庫保管機能を備えた大型物流センター「中之島DC」を稼働させた。従来の「中之島チルドセンター」に隣接させたもので、チルドセンター内に余力ができたことで、ここに惣菜のPC機能を移設する計画だ。
日刊流通ジャーナル2015年7月23日号より