日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は6月10日に開かれた通常総会で、クスリのアオキの青木桂生氏を第4代会長に選出した。青木会長はこのほど開いた就任会見で、高齢化社会に対応できる新しい業態への発展を目指すと同時に、調剤分野でリフィル処方箋やテクニシャン制度の導入、登録販売者の活用や情報通信技術の運用などに取り組む考えを表明した。協会の目標であるドラッグストア10兆円産業化についても、調剤市場の大幅なシフトにより実現可能との見解を示した。
以下は青木会長の就任会見の要旨である。
1999年に協会が設立された当時、ドラッグストアは経済産業省の商業統計に記載されていなかった。今はコンビニエンスストアと並び、必要不可欠な業態に成長し、生活者の便利性の向上に加え、健康をサポートする役割が求められている。私達は薬局からスタートし、ドラッグストアという新しい業態を構築したが、さらに高齢化に対応した業態に変わらねばならない。そのためには品揃えだけでなく、社会に役立つ機能づくりが重要になる。
例えば人口の過半数が65歳以上の地域が拡大し、寝たきりの高齢者も増える中、商品の配達が必要になるかもしれない。また、今は身近に健康相談ができる場所が少ない。ドラッグストアは、登録販売者や管理栄養士といった有資格者が多数いるため、病気になる前や健康維持のための相談を受けることができる。社会変化に対応した新しい役割の検討は必須だ。
登録販売者の活用拡大を検討
高齢化の進行による医薬品需要の拡大で、ドラッグストアの調剤も変化が求められる。私は薬業界に携わる者として、長らく医薬分業の実現を目指してきた。門前薬局は分業推進に寄与したが、分業のための分業だったことも事実で、長期投薬による残薬や重複投与が大きな問題になっている。最近はC型肝炎などで高額な医薬品が多数出ているが、長期投薬の直後に患者が亡くなれば、医療費の無駄になる。これからの「かかりつけ薬局」の時代は、薬剤師が専門家としての能力を発揮し、課題を解決しなければならない。
進化を続ける情報通信技術も活用すべきだ。地元の石川県でも、医療施設の診療情報を相互参照し、医療連携を目指す「ID-Link」に多数の開業医が参加しており、重複投与の防止に寄与している。処方箋は近い将来、電子化され出張先でも容易に調剤を依頼できるようになる。一定期間繰り返し使用できるリフィル処方箋の導入の機運も高まっており、協会としても準備を進める。
今後は、調剤分野における登録販売者の有効活用が重要になる。テクニシャン(調剤助手)になったり、高齢者の自宅に薬を届けるなど、医療を担う一員として活躍してもらえるよう、様々な意見を取り入れたい。
日刊ドラッグストア2015年7月31日号より抜粋