ヨークベニマル(真船幸夫社長)は足元商圏のシェアアップを追求している。都心と地方では消費環境が異なるが、大高善興会長は「東北エリアも生活を豊かにしたいというニーズは高まっており、1㎞内のお客さまを対象に松竹梅の品揃えによって、バジェットゾーンもきちんと提案していく」という。今年度は当初、15店の新店を計画していたが、建築資材の高騰もあり、9店に抑制した。その分、既存店に投資を振り向け、20店を大型改装し、最新のフォーマットに刷新する。

自社商圏の状況について、大高会長は次のように語っている。
「買上点数は少し減っているが、単価は落ちていない。お客さまは、無駄なものを買わず、合理的な買物をされている。ディスカウント業態が必ずしも、好調なわけではない。
都心は上質商品によってターゲットを明確にしても、その部分のマーケットが厚く、それだけでビジネスが成り立つ。われわれのマーケットは人口1.5万〜2万人で、上から下まで揃えなければならない。地方でも味がいいもの、おいしいものが売れるが、デイリーの商品はきちんと価格対応しなければならない。そうした中で、わわれは価値創造型のSMを目指す」
品揃えや売場づくりは個店対応を基本とし、山形と茨城は食の慣習や嗜好が異なるが、顧客満足を追求し利益を出すフォーマットの基本は変わらないという。
「限定商圏の中で遠くから、お客さまを呼ぶのではなく、1㎞内のお客さまの日常の食卓を支えるMD、オペレーションと投資効率で、7〜8年で回収できるフォーマットをどうやってつくっていくかということに取り組んでいる。ベースにあるのは、人の成長である。人材の質がともなわなければ、バランスが崩れ、会社がダメになる。そういう意味で無理をせず、今年も新店を抑制したが、その分、既存店に投資する。
今期に入って11店を活性化し、最終的には20店近くになる。1店当たり2〜3億円を投資する。いまのフォーマットとギャップがある店、陳腐化した店が対象で、投資回収の可能性やマーケットチャンスがあるところを優先している」(大高会長)
これまでに改装した店舗は計画通りに推移しているという。
日刊流通ジャーナル2015年7月31日号より