ミニストップ(宮下直行社長)は、14年9月に1号店を開設した新業態「シスカ」で、都内都心部での多店化を目指す。女性の取り込みや健康をテーマとしたMDにより、昼間はカフェと中食需要、夕方以降は「ちょい飲み」に対応した「コンビニ・バル」としての利用シーンを追求する。7月に3号店の日本橋小舟町店(東京都中央区)がオープンした。今期中に10店舗の開設を予定し、フォーマットの検証を進めていく。

シスカ(cisca)の名称は、city small cafeに由来し、MDはコーヒーなどのカウンター商品と健康コンセプトの中食、専門店を意識したグローサリーで構成する。おにぎりやサンドイッチ、サラダなどの中食メニューは、ほとんどが通常のミニストップとは異なるオリジナル商品となっている。
また、イートイン席を最大限に確保し、中食を店内で食べて行く利用スタイルを提供する。売場面積は35坪前後で通常のコンビニより小さいが、イートイン席は1号店が17席、2、3号店は27席分を設けている。
午後3時以降は、ちょい飲みに対応したサービスを提供する。カウンターで販売する生ビールをはじめ、冷えたグラスの貸し出しやコルク・栓抜きサービス、購入した商品の盛り付けサービス、水割りセットの販売などを行う。3号店からアヒージョ(税込598〜698円)やトッポギ炒め(598円)などのつまみメニューを拡充した。昼食需要も見込み、グリーンカレーやガッパオも500〜600円の価格帯で提供する。これらは冷凍メニューを湯煎して商品化する。カレーなどで使用する米飯は、店内で炊き上げる。
宮下社長は、ちょい飲み需要の創出について次のように語っている。
「女性が帰宅前に数人で訪れ、長い時間ではなく少しだけ楽しむ。都心部にはそういったニーズがあるという感触を得ている。こういったバル的な利用スタイルでの客単価は1500円くらいで、利用時間は1時間くらいが多い。快適に過ごしていただきながら、利用時間を30〜40分にして回転を上げる工夫が必要だ。スタンディング席を設けるなどの実験を進めていく」

24時間営業ではなく、土日は休日
新たな運営モデルでFC化めざす
シスカは、イートイン利用客のために新たなサービスを付加しているものの、通常店のようなサービス機能や店内加工FFを製造するオペレーションがないため、作業負担は少なくなる。営業時間は午前7時から午後10時までで、土日は休みとするなど、営業スタイルは従来のコンビニモデルとは大きく異なる。
宮下社長は、都心部を攻略するフォーマットとして、シスカを発想したという。
「都心部は十分な面積を確保しづらく、店舗も密集しているためタバコを扱えないケースも多い。男性を中心ターゲットとしていたコンビニではなく、女性をターゲットに発想していくことで業態のかたちをつくった。一般的なコンビニよりも小さい売場面積で、24時間営業ではなく、土日も休みとする。こうした制約のもと、どこまで生産性を上げられるか、FCビジネスとして成立するかを検証していく」
出店エリアはオフィス立地が前提で、当面は千代田区、中央区、港区に絞ってドミナントの形成を目指す。
「シスカの立地は、通常のコンビニが出店するようなメインストリートからは少し離れたところをねらっていく。1号店はオフィス街、2号店はオフィスのほか後背には住宅地もある。3号店はオフィス立地で、周囲に競合となるコンビニやカフェがある。それぞれの立地で収益性はどうかを確かめている。1号店は、オープンから9カ月で売上が1.7倍に伸びた。2号店も4カ月で1.5倍となっている。オープンからの伸長率は、通常のコンビニよりも高い」(同社長)
今期中に10店舗とし、17年度には前述の都内3区を中心に70店舗体制を目指す。早ければ70店とする過程でFC化にも着手する。
日刊流通ジャーナル2015年8月4日号より