中国はじめ海外売上が急増、インバウンドで国内にも寄与
良品計画(松崎曉社長)は、中国をはじめとする東アジア地域でMUJIブランドの支持が高まっている。中国(期末12月)の既存店は14年度下期が21.1%増だった。15年度第1四半期は38.5%増、第2四半期も22.7%増で推移している。MUJIブランドへの関心の高さは、旅行客のインバウンド消費にも表れている。4月から39店舗で免税対応を開始したところ、利用者の客単価は1万8000円となり、これら店舗の売上に占める構成比は8%となっている。
中国の既存店が第1四半期(1−3月)に38.8%増と急伸した要因には、前年同期が2.0%増と伸び悩んだことも挙げられる。昨年はグローバルSCM改革の過程で衣服雑貨の展開が遅れ、春節の商機を逃す結果になった。第2四半期の既存店は22.7%増で、第1四半期に比べ10P以上低下した。ただ、前年同期は10%を超える伸長率だったことを考慮すると、トレンドに大きな変化はない。
松崎社長は中国事業について、「昨年の下期から店舗の在庫量を積み増し、機会ロスを減らす取り組みを進めた効果が大きい。それにしても既存店の伸長率が高いので、出店ペースも一時的に落とし、人員対応に取り組む必要があった。政府が倹約令を出して以降、消費の方向性が生活用品に向いている印象もある。とはいえ昨年下期は21%も伸ばしており、このペースが続くとは考えていない」としている。
中国の第1四半期は、出店1、閉鎖1で店舗数は前期末と同じ128店舗だった。ただ、前年同期に比べれば店舗数は27店増加しており、既存店の好調もあって売上高は約2倍となった。
第1四半期の海外売上高は245億9800万円(58.3%増)で、連結業績における構成比は31.8%だった。営業利益は35億9900万円(197.7%増)で、構成比は37.7%となっている。海外事業のうち、東アジア地域の売上構成比は8割近くを占める。
通期では海外売上が1000億円に到達する見通しだ。中期計画で掲げた17年2月期の目標を1年前倒しで達成する。第2四半期以降、中国での出店ペースは再び加速し、通期では前年を上回る31店の純増を予定する。

インバウンド対応が本格化
基幹39店の売上8%を構成
MUJIブランドに対する東アジア地域での注目の高さは、訪日旅行客のインバウンド消費にも見て取れる。4月15日に免税対応を39店舗に導入したところ、利用者による売上は、8%を占めるという。都心部を中心に展開する対象39店舗は、全店売上の20%を構成する基幹店ばかりだ。インバウンド消費のインパクトは、全店ベースにしても構成比1.5%ほどの規模になる。
松崎社長はインバウンド消費について、国内の既存店にはプラスである一方、グローバル戦略の課題でもあるという。
「旅行者の多くは、何を買うか明確な目的をもって来店されているようだ。MUJIブランドがアジアで広がっていることを実感するのと同時に、海外での売価が日本に比べ高く、価格の適正化ができていない現状を反映している気もする。本来は、それぞれの国で購入していただくのが望ましい」(同)
中国では8月と12月に生活雑貨の値下げを予定している。8月に118SKU、12月に145SKUの売価を平均20%引き下げる。
「円安を背景にした価格の見直しであり、中国の最近の景気動向をみての決定ではない。国内と海外の価格差をなくす努力は、継続的に続けていく」(同)
日刊流通ジャーナル2015年8月5日号より