おでん、フライドポテトを刷新
ファミリーマート(中山勇社長)は8月、ファストフードの新たな重点カテゴリーとして、おでんとフライドポテトを刷新する。おでんは従来、FFの中で必ずしも優先順位の高いカテゴリーではなかった。今期はつゆ・具材ともクオリティを上げ、秋冬の中核商品のひとつと位置づける。フライドポテトは、これまでのアメリカンスタイルからヨーロピアンスタイルに一新する。従来商品に比べ値ごろ感のある価格設定に加え、マヨソースなどをディップする新たな食べ方を提案する。
同社のおでんカテゴリーの売上は08年がピークで、以後はアップダウンを繰り返している。フライヤー商品がほぼ右肩上がりに伸長し、14年度は04年対比で約2倍になったのに対し、おでんは1.5倍にとどまる。8月25日の全面刷新により、カテゴリーの新たな成長ステージを目指す。
商品本部FF・パン・デザート部の島田奈奈部長は、「これまでフライヤーに力を入れてきた分、おでんの優先順位はさほど高くなかった。しかし市場性のあるカテゴリーであり、商品とオペレーションを改めることで今後は伸ばしていく。加盟店には新たにおでんの責任者を任命してもらい、売り込む体制を整える。商品本部としては具材・つゆを全面的に改めるほか、時間が経過してもつゆが変色しにくい設計にするなどの工夫で、店舗のオペレーションをバックアップする」としている。
おでんのつゆは、エリアごとの嗜好に合わせ全国で5タイプを展開する。全国共通のベースとして、昆布だしに漬け込む工程を加えた「昆布浸漬鰹節」と、丸鶏・鶏ガラを使ったチキンスープ、もち米100%の「丸もちみりん」を組み合わせている。ダシ由来の旨味成分を強化することで、沖縄を除く地域のつゆは、前年に比べ塩分を30%抑えている。
具材は売れ筋の多くをブラッシュアップするが、価格は据え置く。国産原料・国内製造に切り換えた結び白滝やコンニャクなど、国産商品を増やしている。野菜を使った練り物も強化ポイントで、「トマトはんぺん」(税込120円)や「豆腐とかぼちゃのさつま揚」(120円)といった新商品を投入する。
FF・パン・デザート部ファストフーズグループの池澤隆明マネジャーは、おでんの傾向について次のように語っている。
「購入客は40~50代が中心で、売上は午後6時~10時が3割を占める。ビールと一緒に購入するケースが多く、家飲みのおつまみとしても利用されている」

フライドポテトをおつまみに
おでんは、品質を全面的に高めることで売上増を目指す。顕在化しているニーズをさらに深堀りするアプローチだ。一方、フライドポテトは素材・食べ方提案を変えることにより、潜在ニーズの掘り起こしを目指す。
前述のようにフライヤー商品は好調だが、牽引しているのは「ファミチキ」をはじめとするチキン系商品で、フライドポテトは横ばいが続いている。
「フライドポテトは女性の購入率が5割以上と高く、当社独自のシーズニングである『サラダエレガンス』は評価の高い人気フレーバーだ。ポテトをもっと美味しくすることで、売上は伸ばせると判断した」(島田部長)
従来品の「ファミポテ」は、米国産のポテトを使用し、シーズニングなどもアメリカンスタイルだった。18日発売の「ヨーロピアン フライドポテト」は、ベルギーの食スタイルを参考にしている。ベルギー人の1人あたりジャガイモ消費量は日本人の3.6倍で、約5000店のフライドポテト専門店が営業しているという。近年、ベルギースタイルの専門店が日本にも進出している。
原料のジャガイモは、ベルギーやドイツ、フランスなど欧州各国から調達する。黄色の色味とクリーミーな食感が特徴で、塩やサラダエレガンスによるシーズニングのほか、専用マヨソースとトマトケチャップによるディップスタイルを提案する。
池澤マネジャーは、「マヨソースのディップはベルギーでは一般的だが、日本のマヨネーズで試しても酸味が強すぎて美味しくない。本場を参考に、新たに香辛料などを効かせた専用のマヨソースを開発した」という。
従来品の価格は容量別に税込180円と288円だったが、新商品は135円と180円に設定した。
ユーザーは、女性を中心に30~40代をボリュームゾーンとしていたが、今後は20代の取り込みも進めるという。また、これまで販売が弱かった夜間を強化ポイントとする。
「ベルギーではビールなどと一緒に楽しまれており、日本でもおつまみニーズは掘り起こせると考えている」(同マネジャー)

日刊流通ジャーナル2015年8月7日号より