クスリのアオキ(青木宏憲社長)が5期連続の2ケタ増収増益を達成し、売上高を1349億円として業界順位を11位に上げた。上場後初の減益となった5年前から事業を根本的に見直し、集客力の高い小商圏フォーマットで売上・利益を確保してきた。今後は300坪型の標準店を軸に出店を加速し、2022年5月期に売上高3000億円、業界順位8位を狙う。近年の業界はM&Aによる規模拡大がすすんでいるが、同社は組織力と迅速な意思決定の維持を目的に、自主独立での勝ち残りを目指す。
クスリのアオキは2006年に東証二部に上場(2011年に東証一部上場)した。初開示となった2006年5月期決算は売上高が332億円、営業利益が11億円(経常利益率3.4%)で、以降2009年5月期まで、連続の増収増益が続いていた。
しかし翌2010年5月期は初の減益決算となった。「ドラッグ&ファーマシー」を掲げ調剤を前面に押し出したが、足元の顧客を囲い込めず既存店がマイナスに転じている。その時の状況を当時の社長の青木保外志氏(現取締役最高顧問)は、「調剤の成長に頼りすぎたことでドラッグに油断が生じた」と語っている。
この反省をもとに事業を根本的に見直し、戦略の実行部隊として「営業推進室」を新設した。営業推進室の指揮を取ったのが現社長の青木宏憲氏で、同氏のもと食品を含む品揃えの再構築を図りながら、新たなフォーマットの開発をすすめてきた。

1店あたり売上高は5.5億円に
300坪型の完成で個店競争力が高まり、1店あたりの平均売上高は2010年5月期の3億8000万円を底に、2015年5月期には5億5000万円に増加した。フォーマットの標準化が収益改善に寄与し、全社ベースの経常利益率も3.2%から5.9%に上昇している。
さらに2011年5月期から5年間で122店を出店(8店を閉鎖)して総店舗数が267店となり、2010年5月期に539億円だった売上高は5年間で2.5倍の1349億円、業界順位も16位から11位へとランクアップした。
今期は過去最多となる52店の出店を計画し、既存店のプラス推移を前提に売上高1600億円を計画する。一方で出店や食品強化に伴う経費の増加で、5期ぶりに減益の予算を組んだ。
中期目標は7年後の2022年5月期に、売上高3000億円の大台を狙う。展開エリアは地盤の北陸と、新規エリアの北関東ならびに東海・近畿を想定する。出店数は前期まで2期連続で期末店舗数の15%を超えており、以後も新フォーマットによる積極的な開発を進める。
日刊ドラッグストア2015年8月20日号より抜粋