SM業界3団体の7月度業績発表会に京北スーパー(千葉県柏市、下西琢也社長)の石戸義行会長がゲストスピーカーとして出席し、中長期戦略について説明した。地域に貢献する特別なSMとして成長を続けていくうえで、若手を中心に教育に力を入れている。「SMとして新しい取り組みやプログラム、マーケティングなど、米国は日本より10年先を行っている」(石戸会長)。長年、交流のある米国オハイオ州のドロシーレーンに継続して人材を派遣している。

京北スーパーは石戸義行会長の父親である石戸孝行氏(現相談役)が1963年12月14日に創業した。商品へのこだわり、安全をもって地域密着を志向している。現在、柏市に4店、流山市に2店、我孫子市に2店の8店を展開している。
石戸義行現会長が2000年、社長に就任し、15年が経過した。新しい人材を登用するうえで、今年6月、下西琢也専務が社長に昇格し、石戸義行社長が代表権のある会長に就いた。
「下西社長がいまの数字の責任をもつ一方、私には20年後の責任を負って欲しいといわれた。そうしたことを踏まえ、20代、30代、40代の教育に力を入れていきたい。米国オハイオ州で3店を展開するドロシーレーンは世界一素敵なスーパーだと思っている。トップをはじめ幹部と長年の交流があり、若手の派遣を続けている。10年、15年先を考えると、食生活、ライフスタイルが随分、変わる。いまの20代、30代の将来を思い描ける人間に勉強して欲しい」(石戸会長)
直近の4~7月の実績は前年比102.5%で、全部門がプラスだった。店内加工のウェイトが高い惣菜、ベーカリーに力を入れており、特にベーカリーは生産性にこだわらず、質の向上を優先しているという。結果として、スクラッチの割合が増え、売上アップにつながっている。
一方、パートタイマーを中心に人材の確保が困難な状況にある。従業員が辞めない環境づくりを重視し、バックルームや休憩室のクリンネスに取り組んでいる。
近年は、首都圏のSM各社も生鮮・惣菜を強化すると同時に、こだわり商品を充実させ、売上・利益とも好調に推移している。京北スーパーは独自の仕入ルートの開拓、加工技術の向上や地方メーカーとのPB開発によって、独自性を打ち出している。例えば、鮮魚はセントラルバイイングではなく、個店で販売計画、在庫を確認し、鮮度を重視して買い付けを行っている。寿司は鮮魚部門で商品化するが、他社の指導を受け、売上は3年前と比べ1.5~2倍アップしたという。
日刊流通ジャーナル2015年8月28日号より抜粋