全米最大の百貨店チェーン、「メーシーズ」(Macy's)は2016年早々、35〜40の不採算店舗を大量閉鎖する。閉鎖する店舗の売上は約3億ドルと全体の1%前後に達する見通しだ。
なお同社は2010年から2015年にかけて6年近くの間でメーシーズを52店閉鎖している。一方、メーシーズ12店を新設している。現在のメーシーズの店舗数は770店となっている。なお同社は今秋、オフプライスフォーマットの「メーシーズ バックステージ」(Macy's Backstage)を6店新設する。
同社はメーシーズのほか、同じく百貨店のブルーミングデールス(bloomingdale's)、ブルーミングデールス アウトレット(bloomingdale's Outlet)、化粧品専門店の「ブルーマーキュリー」(Bluemercury)と合計885店を展開している。
テリー ラングレン(Terry Lundgren)会長兼CEOは、「お客さまの購買行動は急速に変化している。当社は今後、急速成長しているデジタルビジネスをさらに強化し、デジタルとリアルを統合したオムニチャネル戦略を強力に推進していく」と語る。
上期決算、既存店低迷で減収減益
メーシーズの2015年上期決算(8月1日締)は、既存店が低迷していることや荒利益率、経費率の悪化で減収減益となった。売上高は1.7%減の123億3600万ドル、営業利益は16.7%減の8億4500万ドル、純利は20.5%減の4億1000万ドルとなった。
荒利益率は0.3P減の39.9%、経費率は1P増の33.1%と共に悪化した。この結果、営業利益率は1.3P減の6.8%、純利益率は0.8P減の3.3%と収益性は低下している。既存店は直営が1.4%減、ライセンスストアが0.6%増で合計0.8%減と苦戦した。
同社は期中にメーシーズを2店閉鎖し、ブルーマーキュリーを3店新設している。なお今秋には、メーシーズを1店、ブルーミングデールをホノルルに1店、メーシーズ バックステージを6店、ブルーミングデールス アウトレットを1店、ブルーマーキュリーを10店新設する計画だ。また第4四半期にはロサンゼルスのメーシーズを閉鎖する予定だが、同じモール内にリプレイスオープンする計画だ。
ラングレンCEOは、「上期の業績には満足していない。我々が販売するカテゴリーの多くで消費者は購買を抑制している。またドル高のため、海外旅行者の購買力も目立って落ちている」と苦しい胸の内を語る。
このため同社は、オンラインで注文した商品を自分の近くのメーシーズなどで受け取れるオムニチャネル戦略をさらに強化し、注文した当日でも受け取れるサービスにも力を入れる。また中国でも、地元専門業者と提携して、eコマース事業を今秋にも開始しる。さらに化粧品専門店にスパを併設するブルーマーキュリーを2015年末までに10店新設する。このほか今秋、メーシーズ内にブルーマーキュリーを4店出店する。
日刊流通ジャーナル2015年9月14日号より