スギホールディングス(桝田直社長)の子会社であるスギメディカル(杉浦昭子社長)は、高齢化率の高い関東や名古屋、大阪を中心に、訪問看護事業と居宅介護支援事業を展開している。在宅調剤を実施するスギ薬局との連携もあり、利用者や地域の医療機関、介護事業施設から信頼を得ている。このほど、地域包括ケアシステムのモデルケースとなっている千葉県柏市豊四季台で、ケアプランセンターとともにサービスを提供する「スギ訪問看護ステーション豊四季台」を取材した。

スギメディカルは、病床数の削減や特別養護老人ホーム不足で在宅患者が増加する中、療養者の病状や家族の負担の軽減を目指し、訪問看護事業と居宅介護支援事業を展開している。
訪問看護事業は看護ステーションを拠点に、看護師やリハビリテーションスタッフが在宅療養者の居宅に訪問する。医師や薬剤師、介護の関係者らと連携し、利用者の体の衰えの予防や病状悪化の防止に取り組んでいる。また居宅介護支援事業はケアプランセンターを拠点に、利用者が抱える課題を分析し、地域のサービス事業者との調整をおこなっている。
「スギ訪問看護ステーション豊四季台」と「スギケアプランセンター 豊四季台」は2014年5月1日、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の「ココファン柏豊四季台」のオープンと同時に、その1階にリビルドで開設した。
同社は現在、訪問看護ステーション10拠点、ケアプランセンター6拠点を展開している。患者に対するサービス向上のため、可能な限りこの2つを一体で展開することを目指しており、今は訪問看護ステーションが単独で出ている拠点も、将来的にケアプランセンターを併設する考えである。
スギメディカルの訪問看護・居宅支援運営部関東1地区の板倉裕子メディカルスーパーバイザー(保健師、看護師、介護支援専門員)は、「ケアプランセンターの介護支援専門員の基礎職種は介護福祉士が多いため、重症度の人やガン末期の患者への対応が苦手な傾向がある。逆に看護師は介護の知識が少ないので、ケアマネがいると心強い。この2者が連携すれば深く意思疎通でき決断が早い。近隣の病院からセットでサービスを依頼されることも多い」と語る。
看護・介護の相互連携も順調
豊四季台団地は65歳以上の比率が4割超と全国平均の2倍以上に達している。柏市は2009年、東京大学や独立行政法人UR都市機構と研究会を発足し、介護や医療、地域支援、多世代交流機能を備える地域包括ケアシステムのモデルケースとなっている。
訪問看護ステーションと巡回介護の事業者が入る場合、同一事業者が大半だが、「ココファン柏豊四季台」は意図的に異なる事業者を公募した。これは地域の看護・介護事業者は規模が大きい会社ばかりではなく、将来的に異なる業種の数社が協力する事態が想定されるためである。
「ココファン柏豊四季台」は今回、訪問看護とケアプランはスギメディカル、訪問介護は長岡福祉協会が担う。両社はともに「ココファン柏豊四季台」の1階に事務所を置き、仕切りはガラスだけで、相互に出入りもできる。「当社のスタッフは気兼ねなく、長岡福祉協会の事務所に行き、介護スタッフの医療関係の悩みについて相談に乗っている。伝達事項の連絡もスムーズだ。介護と看護が異なる業者でも、問題なく運営できることを示せている」(板倉メディカルスーパーバイザー)
日刊ドラッグストア2015年9月15日号より抜粋