アマゾン ジャパンは15日、オンラインストアのプライム会員向けサービスとして「Amazon パントリー」をスタートさせた。グローサリーや日用品など約5000アイテムを取り扱い、1~3日間で全国に配送する。通常のアマゾンサイトでは、食品や日用品はケース単位や複数個のセット販売が一般的だ。パントリーの商品は、スーパーやドラッグストアと同等の価格設定で販売する。アマゾンが食品・日用品を単品から購入できるネットスーパー的なサービスを導入するのは初の試みとなる。
プライム会員限定「Amazon パントリー」を開始
米国では14年4月から同様のサービスを開始している。プライム会員の限定サービスという点も共通だ。国内のプライム会員は、年会費3900円で当日配送や日時指定便を追加料金なしで利用できる。
アマゾン ジャパンのジャスパー・チャン社長は、プライム会員向けサービスについて次のように語った。
「今年7月には世界9カ国同時に『プライムデー』といった会員向けプロモーションを初めて展開したほか、下旬には映画やテレビ番組などが見放題となる『プライムビデオ』を始める。パントリーによる新たなショッピング体験の提供は、会員特典の一環だ。今後も新たな特典を追加し、会員の生活全般をサポートしていく」
パントリーで購入した商品は、1箱290円(税込)の専用ボックスで配達する。これが実質的な配送料で、1箱の容量を超えるとさらに1箱分の料金が発生する。ネットスーパーなど日用品のネット通販では、購入金額が一定額を超えると配送料が無料となるケースが多いが、アマゾンは米国の先行サービスと同じスタイルを採用した。
箱のサイズは52㎝×28㎝・高さ36㎝で、最大容量は12kgとなっている。サイト画面では、商品の「カートに入れる」ボタンをクリックすると、ボックスの容量がどれだけ埋まったかパーセンテージで表示される。残りどれだけ買物すればボックスが一杯になるか分かるよう、容量のパーセンテージ別に商品を分類できる機能を備えるなど、利用しやすい環境を工夫している。ただ、ネットスーパーでは売れ筋のトイレットペーパーや2L容量の水など、かさばる商品を選択すると、専用ボックスの容量はすぐに一杯になる。この点で配送料の独自システムに対する利用者の評価は分かれそうだ。

常温の品揃えにフォーカス
パントリーの取扱商品は、小田原物流センター(神奈川県小田原市)から全国へ発送する。このため、配送期間は1~3日と設定する。約5000アイテムは常温で管理できるグローサリー、日用品で、医薬品などは扱わない。
消費財事業本部長の前田宏バイスプレジデントは、パントリーはプライム会員向けの限定サービスであり、ネットスーパーに参入する事業ではないという。
「パントリーは、会員専用サービスとして初めて物販に踏み込んだものだ。全国物流が可能な常温の品揃えにフォーカスしていく」(前田本部長)
日刊流通ジャーナル2015年9月16日号より