エブリイ(岡﨑雅廣社長)は生鮮・惣菜に特化した店づくりで、独自性を追求している。人間力を高める教育を通した人材の育成で、部門を横断する組織体制ができたことなどで急成長を遂げ、知名度は全国区となった。2015年6月期の売上高は過去最高の新店5店の寄与と既存店が好調だったことで、前の期の479億円から500億円を通過し、一挙に600億円台に到達した。当面、1000億円の目標を掲げるが、グループとして次のステージでSMと外食の融合などを視野に入れている。

8日に開催した取引先との交流会で、岡﨑社長が業績報告と新年度の方針説明の中で、グループの方向性を明らかにした。
15年6月期の業績は売上高が26.4%増の606億1000万円、経常利益が41.0%増の22億2400万円だった。「エブリイとして次世代へ向けての基盤づくりができた。前期のスローガンであった商品の鮮度と人の鮮度に関しては、想像を越えた成果を出してくれた。食の新たな価値創造が、多くの部門、カテゴリーで出来つつある。業績は計画以上の成果で、15期連続の2ケタ増収、8期連続の増益だった。当初の売上目標は580億円だったが、500億円台を経験することなく606億円を達成し、正直、驚いた。また総資本経常利益率は15.2%、自己資本当期純利益率は24.5%、在庫回転率は72.8回で業界平均の3~4倍となった」(岡﨑社長)
既存店は9.2%増と高水準の伸びをみせ、22カ月連続、前年をクリアしている。新店は生鮮の鮮度へのこだわりに加え、専門性を追求した新フォーマットの「鮮Do!エブリイ」を中心に5店を開設し、すべて順調に推移した。鮮Do!エブリイは超鮮度、専門店化、独自固有化をキーワードに、次世代の主力フォーマットの構築に取り組んだ。ベーカリーやスイーツ専門店、精肉専門店の「肉匠たなか」などを導入し、従来の生鮮強化型店舗よりも専門度を高めた。出店はキャッシュフローの範囲内で、店長の人材育成ができることを前提としている。
HDに移行し多様な人材を
なお昨年8月、ホールディング体制に移行し、エブリイホーミイホールディングスを設立した。グループで外食・給食、夕食宅配事業、料亭・居酒屋、農業法人などを展開しており、ホールディングス化によって仕入のスケールメリットを享受しているほか、グループ一括の人材採用で多様な人材が応募しているという。
またグループで食関連の複数の業態を展開することで、漁船の一艘買い、農業進出の第一歩となった世羅町の自社農園の開設および契約産地の開拓に取り組み6次産業化を進めている。多様な販売チャネルをもつことで、規格外の商材や量が揃わずSMの店頭で定番で取り扱えない商材を全量買い取ることができ、産地との間でウィン、ウィンの関係をつくり上げている。
日刊流通ジャーナル2015年9月16日号より