
地域包括ケアのモデル地域で患者ニーズに対応した調剤を
アインファーマシーズ(大谷喜一社長)は12日、都市型ドラッグストア「アインズ&トルペ」のノウハウを集大成した旗艦店を札幌市内中心部にオープンした。同店は、札幌大通公園を望む同市大通西1丁目の旧丸井今井別館(旧マルサ)全館を全面改装した複合商業施設「ル・トロワ」(同市中央区大通西1-13)の地下2階から地上2階の4フロアに出店したもので、3階から8階までは同社が初めてリーシングした特徴あるファッション雑貨や美容サロン、レストランなどが出店している。

ル・トロワは、地下2階地上8階建てで、延床面積は4200坪の規模である。アインズ&トルペの売場面積は450坪とこの業態としては最大で、あらゆる世代の女性にキレイを提案する「キレイ3世代」をコンセプトとしている。
ピーク時の年商は20億円を見込んでおり、アインズ&トルペ最大の2万SKUを揃えている。同店に先行して7月オープンした「新宿東口店」(東京都新宿区)のノウハウをさらに発展させている。
なお同店は、地下鉄大通駅と地下2階部分で直結しており、札幌駅からの地下街にも直結させる工事を進めている。
地下2階は、おすすめコスメ、ご当地スキンケア、地下1階はスキンケア、カウンセリング化粧品、そして免税カウンター、1階はメイクアップ、ファッション雑貨、カラーコンタクト、2階は医薬品、健康食品、輸入化粧品、ビューティケアのフロアとなっている。
そして3、4階はファッション雑貨、5階はビューティサロン、6階はクリニック、8、9階はレストランとなっており、4階までの随所にカフェが配置されている。
同社はこのル・トロワ店を開設するに備えて、2014年12月に旗艦店の「原宿クエスト店」(東京都渋谷区)を、2015年4月には同じく旗艦店の「池袋西武店」(同豊島区)を全面リニュールしてMD改革に取り組んできた。
そして7月25日には、JR新宿駅東口すぐの「ミラザ新宿」の地下1階から地上2階まで3フロアに出店する前述の「新宿東口店」をオープンした。売場面積は390坪で、やはり2万SKUを揃え、ピーク時の年商36億5000万円を見込んでいる。

4200坪1棟全館を初めてリーシング
大谷社長は、「ル・トロワは、1棟全てを当社が初めてリーシングした。こうしたことを経験して成功させれば、今後東京などで同じような案件が出てくる可能性がある。アインズ&トルペとして、この業態を確立させ、ブランド価値を高めることができれば、銀座、有楽町などの一等地に出店するだけの収益力もついてくる。
ル・トロワを開設するための言わば「前哨戦」として原宿、池袋を全面リニューアルした。新宿東口店は、急遽決定した物件だったが、それまでのノウハウを集大成し、ル・トロワに繋げている。東口店の出だしは絶好調で、2、3年経てば年商30億円を超えることは間違いない。原宿店も月商1億5000万円から1億7000万円で推移している。
アインズ&トルペは今後、札幌市中心部の地下街店、東京駅構内店、川口店など旗艦店を全面リニューアルしていく」と語る。
なおアインファーマシーズは8月31日、資生堂の子会社で全身用ケア化粧品を展開する「アユーララボラトリーズ」(田中俊宏社長)を100%子会社化した。アユーラは全国の百貨店など77店に出店しており、アインファーマシーズでは新宿東口店、ル・トロワ店に出店している。
アユーラ買収のねらいについて大谷社長は、「資生堂も多くのブランドを抱えており、その全てに投資するには厳しい状況だったようだ。
ただ私自信は10年来のアユーラ愛用者で、シャンプー、リンス、ボディローションをいまでも毎日使っている。当社でアユーラを最も知っているのが私であり、この売却話があったときは即決した。
アユーラは全国の百貨店に出店しているが、資生堂としては、ブランド力を高めていく投資がなかなか出来なかったように思う。だが当社にとっては、このアユーラが最大のブランドであり最大限の投資をしていく。この2年間で百貨店の売上を増やす仕組みを構築し、百貨店の信頼を回復させる。
ただアインズ&トルペには、このアユーラは旗艦店にしか入れない。むしろ銀座や青山といった一等地に路面店を出すなどしてブランド価値を高めていく。田中社長には引き続きアユーラの経営に携わってもらい、木明取締役を副社長として勉強させている」と語る。
なおアインファーマシーズのオリジナルブランドとしては今年7月、「LIPS and HIPS」を立ち上げた。1300円から1800円と若い女性にも手頃な価格帯で、リップ、リップグロス、チークなど60SKUをおしゃれ感覚で揃えている。今期中に350SKUに増やす予定だ。
日刊ドラッグストア2015年9月16日号より抜粋