ヤオコー(川野澄人社長)はパート採用難への対処として、オペレーションの生産性向上を図る取り組みや、アウトパック商品の活用を進めている。業務のカイゼン活動は2年目に入り、認定制度を設けた「朝一作業」の生産性アップが進捗している。また、ベーカリーではサンドイッチの一部をアウトパック化し、朝の品揃えを拡充した。朝の品薄を防ぐこれらの施策によって売上は伸長し、その他の施策もあって既存店は8月まで28カ月連続で前年をクリアしている。ただ、店舗の人員不足は解消されていないという。
業界3団体の定例会見に川野社長が出席し、好調な売上の状況や、パート採用難に伴う足元の課題について語った。
8月の既存店は客数2.6%増、客単価2.4%増の5.0%増だった。8月までの累計は6.9%増となっている。
川野社長は、「客単価のうち、買上点数は横ばいだが、青果・精肉の相場高や、加工品も小麦や乳製品の値上げが浸透してきたことで1品単価は上昇している。8月は後半の気温低下がそれほどのマイナス要因にならず、9月も前半の天候不順を後半のシルバーウィークで盛り返した。年内は8月までのトレンドで乗り切れると思う」としている。
売上が好調に推移するなか、課題としてパート採用難による人員不足を挙げる。
「時給を上げてもパートを採用できず、個店別のフォローで対処している。社員の残業が増え、アルバイトの人時を増やし、それでも補えなければ派遣社員を雇用している。売場づくりにもっと力を入れたいところだが、きめ細かな提案に十分に手が回っていない。業務の組み立ての無駄をなくし、業務量を減らすといった取り組みにより、店の仕事に余裕を持たせたい」(同社長)
朝一作業の認定取得が全店の2割に
効率的な店舗オペレーションを追求し、前期から専門部署によるカイゼン活動を継続してきた。朝一業務の作業内容を明確化し、認定制度を導入して浸透を図っている。
「今までのやり方を変えることには多くの困難が伴うので、明確化した時間ごとの作業をいかに徹底していくかが重要だ。2割くらいの店が認定を取得し、1人あたりの製造パック量が2~4割アップするなど、効果は出ている」(同)ほかにも朝の作業軽減策として、サンドイッチにアウトパック商品を導入した。
川野社長は、「サンドイッチは品質を入念に確認したうえでアウトパック化した。朝の欠品が多いカテゴリーだったので、売上は伸長している。ただ、インストアだった頃に比べ荒利は追いついていない。アウトパックの拡大に向け、デリカセンターをより積極的に活用する必要がある。店舗の作業軽減を進めながら商品の差別化を実現するため、内製化されたアウトパック商品を増やしていく」という。
また、センターでの仕分方法の変更や、店舗ごとの業務計画づくりを効率化するために人員計画や作業計画のシステムを使いやすくするなどの工夫を続けている。
日刊流通ジャーナル2015年9月29日号より抜粋