
GMSの大量閉鎖が注目される中、イズミ(山西泰明社長)の業績が好調に推移している。6月11日にオープンした最大規模のゆめタウン廿日市(広島県廿日市市)は直営とテナントを効率的に配置し、回遊性のアップをねらったサーキットモールとして開発した。オープンから3カ月経過した段階で業績は計画通りの推移だが、広域からの来店やキッズゾーン・フードコートへの来店客の集中など、想定外の動きがみられるという。今後、食品の強化などで足元商圏からの来店頻度のアップなどを課題に掲げている。

ゆめタウン廿日市は市が推進する都市計画「シビックコア地区」の最後のピースとして、市役所を中心とした都市機能の中枢エリアにオープンした。山陽自動車道「廿日市IC」「宮島SAスマートIC」や「国道2号西広島バイパス」、広島都市圏を横断する「広島南道路」と、車でのアクセスに恵まれる。最寄駅はJR山陽線・宮内串戸駅と広電・宮内駅の2つがある。商圏は広島県西部をはじめ山口県も視野に約60万人を想定し、年間約1200万人の集客を見込む。
約209億円を投じ、敷地面積5万1000㎡、延床面積17万9800㎡でイズミとして最大規模のモール型SCを開発した。店舗面積4万6000㎡で全体の約3分の1が直営、3分の2がテナント(201店)で構成される。SCの形態としては直営、テナントを一体化したサーキットモールと称している。商業施設は3フロアで直営部分は1階が食品、医薬品・化粧品、靴、2階が衣料品、住関連、3階が子ども関連で構成される。
大型テナントは2階にロフト、ひごペットフレンドリー、ユニクロ、GU、3階にアミューズメントのナムコ、紀伊國屋書店などを配置した。ロフト、紀伊國屋書店は広島市内の百貨店にしかなく、大きな集客効果を果たしているという。

直営で収益アップを 衣料品は平場の充実が課題
SC内での直営とテナントの役割について、沼本真輔支配人は次のように語っている。
「SC、GMSで直営売場がなくなることはない。過去と比べると確かに売上は減少しているが、やり方さえ間違えなければ収益アップが期待できる。いま直営の一部でコンセ(ブランド)の導入が広がっているが、昨年絶好調だった反動で、今年は苦戦している。平場が健闘しているところが、売上・利益とも大きい。高額品ブランドがないところは、平場が頑張らなければならない。お客さまに支持され、やり方を間違わなければ、衣料品は利益が大きい」
店舗面積4万6000㎡のおおおその内訳は直営が3分の1で、残りがテナントとなっている。「テナントで広域から集客し、実用品・日用品はイズミで買っていただくことをねらっている。差別化商品、ブランドを含め、当社ができないところはテナントを入れている。平場もテナントを意識し、どんどんレベルが上がっている。直営、テナントの垣根はあるが、お客さまからみたら分からない」(沼本支配人)
ゆめタウン廿日市は、これまでのSCのノウハウを集大成した最新のモデルに位置づけている。物販の充実にとどまらず、通路幅を広げ、サーキットモールとして回遊性を重視した売場づくりに取り組んだ。同時に、レストスペースを随所に取り入れ、トイレの快適性などにも配慮した。
10㎞強の距離にある旗艦店のひとつのゆめタウン広島(広島市)はモールが直角で回遊性が劣り、他社のモール型SCを学びながら、ゆめタウン佐賀、ゆめタウン徳島、今回のゆめタウン廿日市へと進化させた経緯がある。2階、3階は前述の大型テナントを配置して、フロア全体を回ってもらい、直営、テナントを合わせ、全体の7~8割の売場をみてもらうことを意識している。2階は想定通りの来店導線となっているが、3階は3世代のフロアとしてキッズ、文具、玩具、ナムコ、フードコートと関連して物販、サービスを集積したことから、導線に偏りがみられることを指摘している。
日刊流通ジャーナル2015年10月5日号より抜粋