
イオン(岡田元也社長)の8月第2四半期決算はSM・DS事業の収益改善によって、増収増益となった。マックスバリュ各社が増収増益に転じたしたほか、ダイエーも改装した都市型SMが好調で、損益の改善が図られた。一方、GMSはエリアへの権限移譲、イオンスタイルへの転換など改革を進めているが、収益は水面下で推移している。大型改装店は売上・損益とも改善されており、「今年度の黒字化を見込んでいるが、最盛期の400億円台に回復するには2〜3年を要する」(岡崎双一執行役GMS改革担当)としている。
第2四半期決算は営業収益が18.7%増の4兆0748億8900万円、営業利益が66.6%増の722億6600万円、経常利益が49.9%増の728億5200万円、四半期純利益が5.4%増の21億2900万円だった。
セグメント別の営業利益は総合金融業が272億円(62億円増)、ディベロッパー事業が208億円(26億円増)、サービス・専門店事業が164億円(18億円増)と高かった。総合金融は国内でカードショッピングの取扱高が拡大した。ディベロッパー事業は国内の既存6SCの活性化が寄与した。サービス・専門店事業はイオンディライトが事業を拡大したほか、靴専門店のジーフットが開発した機能型商品が好調で大幅な増益となった。
ドラッグ・ファーマシー事業はウェルシアホールディングスの調剤併設店の拡大などによる活性化やタキヤおよびシミズ薬品を子会社化したことで、営業収益が3.67倍の2944億円、営業利益が69億円増の82億円となった。
USMHが連結に入り71億円の改善
SM・DS事業は営業収益が28.0%増の1兆5569億円、営業利益が147億円増の61億円だった。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスが新たに連結に加わり、営業利益で71億円の底上げが図られた。マックスバリュ各社は生鮮・惣菜の強化を柱とした改装や積極的な地域商品の導入に取り組んだ。概ね、既存店が堅調に推移し、荒利益率の改善も図られ、営業利益76億円の改善につながった。
またSMへの特化を進めるダイエーは簡便・即食型商品の強化を柱とする都心型SMへの転換が軌道に乗り、2ケタの伸びをみせている。当初、今年度の改装計画は10店だったが、20店に拡大した。新業態のフードスタイルストアは6月に改装した赤羽店(東京都北区)が2ケタ増、8月の神戸三宮店が50%増で推移しているという。ダイエーの営業収益は1.8%減の3013億円、営業損失75億円(23億円増)だった。
GMS事業は営業収益が2.0%増の1兆3709億円、営業損失87億円(43億円減)と苦戦した。主力のイオンリテールは営業収益が0.3%増の1兆0629億円、営業損失99億円(24億円減)、経常損失95億円(25億円減)、四半期純損失86億円(30億円減)となった。
既存店は1.4%減だったが、改装や権限移譲をはじめとした改革の効果が現れ、直近の3カ月はプラスに転じた。GMS改革は売場への人時投入、地域商品の導入、専門店化によるイオンスタイルへの転換の3つの方向で取り組んでいる。13年度から今年度上期までにイオンスタイルに転換した47店は消費税増税の影響を除いた5〜8月の4カ月間、前年比2.1%増と堅調に推移した。また第1四半期は営業損失32億円だったが、6〜8月は8億円の黒字に転じた。
人時投入で売上・利益とも改善
「エリア・店舗への権限移譲は6人の支社長が2000〜3000億円企業のトップと同等の権限をもち、自主的に運営している。さらに、自分たちで仕入れ、思い通りの売場づくりで売ることによって、良い結果が現れている」(岡崎執行役)
荒利を上げ、人手を増やすことで、回復の兆しが現れていることを指摘している。
「現場に人を増やすことで、売上が伸び、利益も増える。人を増やすことで商品の管理が良くなり、見切りのタイミングが改善され、廃棄も減る。また、十分な接客ができ、価値ある商品が販売できる」(同)。人時を投入することで確実に収益が改善されるが、人を採用できないところは低迷が続いている状況にもある。
改装もファミリー、シニアが多いところなど、エリア特性に合わせて、イオンスタイル化に取り組んでいる。同業他社の閉鎖店の数が話題となり、GMSの終えんということが再び取り沙汰されているが、下期に新店3店をオープンする。うち1店は同業他社の後継店舗である。16年、17年で2ケタ出店し、それぞれ最大80店の改装も計画している。
日刊流通ジャーナル2015年10月13日号より抜粋