セブン&アイ・ホールディングス(村田紀敏社長)はイトーヨーカ堂、そごう・西武の構造改革に着手する。イトーヨーカ堂はすでに40店の閉鎖を発表しているが、本格的に地域対応を進めるうえで、バイイングやトレーニングなどの本部機能を各エリアに移管する。9月1日付けで、本部人員350人の人事異動を行った。14年にアリオ上尾(埼玉県上尾市)でスタートした個店経営は15店に拡大し、店長中心のオペレーションの効果を確認している。各店が地域仕入、運営を競い合うことで、閉鎖を回避するねらいもある。
第2四半期決算は営業収益が18.7%増の4兆0748億8900万円、営業利益が66.6%増の722億6600万円、経常利益が49.9%増の728億5200万円、四半期純利益が5.4%増の21億2900万円だった。
セグメント別の営業利益は総合金融業が272億円(62億円増)、ディベロッパー事業が208億円(26億円増)、サービス・専門店事業が164億円(18億円増)と高かった。総合金融は国内でカードショッピングの取扱高が拡大した。ディベロッパー事業は国内の既存6SCの活性化が寄与した。サービス・専門店事業はイオンディライトが事業を拡大したほか、靴専門店のジーフットが開発した機能型商品が好調で大幅な増益となった。
ドラッグ・ファーマシー事業はウェルシアホールディングスの調剤併設店の拡大などによる活性化やタキヤおよびシミズ薬品を子会社化したことで、営業収益が3.67倍の2944億円、営業利益が69億円増の82億円となった。
イトーヨーカ堂 ローカルSMとの関係強化
そごう・西武 旗艦店のいっそうの強化へ
コンビニ事業が好調だった一方で、総合小売業、百貨店は減益となった。事業構造改革の背景について、村田社長は次のように語っている。
「イトーヨーカ堂は上期として2010年以来の赤字となった。ホールディングスとして持続的成長に向けて、チェーンストア理論からの脱却で、本部主体から店主体に切り替え、本部は店をサポートするという体制を組んで実行してきた。さらに地域仕入の強化に向け、体制を組んだ。上期は売場の活性化、既存店の改装を進め、さらに不要在庫の削減で値下げ処分を行った。
下期は首都圏を中心に店舗展開している優位性を発揮したオペレーションを強化していくと同時に、地域対応でヨークベニマルのほか地方のダイイチ、万代、天満屋との関係をもっと強化したい。売場活性化については、テナントミックス型の店づくりをさらに強化していく。その一環で、ホールディングスのもとにあったモールSCをイトーヨーカ堂の100%子会社にし、一体となって実行していこうと考えている。そういう環境の中で、生産性を向上し店舗を強化するため、本部人員を店に振り向けた。いまの状況で、5年以内に収益が見込めない40店を閉鎖する」
そごう・西武は16年2月に西武春日部店(埼玉県春日部市)を閉鎖する。「旗艦店の池袋、渋谷などはラグジュアリー性を高める対策で、オムニチャネルとの連携による効果が出ている。地方の店舗はイトーヨーカ堂と同様に、テナントミックスによるSC化を進める」(村田社長)
日刊流通ジャーナル2015年10月14日号より抜粋