
ファミリーマート(中山勇社長)とユニーグループ・ホールディングス(佐古則男社長)は、16年9月に経営統合することで正式に合意した。来年4月までに新社名や経営体制、コンビニのブランドや店舗閉鎖の方針といった重要事項の決定を目指す。佐古社長はコンビニのブランドは一本化することが前提と強調した。「サークルKとサンクスを統合した経験上、競争に勝っていくためには店舗ブランドは一本化する必要がある。それを前提に統合交渉を進めてきた」としている。
合併比率は、ファミリーマートの株式1に対し、ユニーグループHDが0.138株となる。16年9月にファミリーマートがユニーグループHDを吸収合併し、新たな持ち株会社を設立する。また、ファミリーマートのコンビニ事業はサークルKサンクスが承継する吸収分割を行う。統合に先立ち、ユニーグループHDは16年8月29日に上場廃止となる予定だ。HDとコンビニ事業の本社は東京に置き、GMS事業の本社は愛知県稲沢市とする。
両社は統合準備委員会を設置し、新社名や企業理念、経営体制やコンビニブランドの取り扱いを検討していく。佐古社長は、「16年4月までのスケジュール感で進めていく」と語り、中山社長は「3月には新年度がスタートする。できる限り速やかに決定したい」としている。店舗ブランドは一本化を前提に協議していく。
懸案事項のひとつが不採算店舗の閉鎖に関わる方針だ。GMSは統合後の取り組みとして、東海・関東圏へのフォーカスを打ち出している。
佐古社長は、「店舗の閉鎖は是々非々で考えていく。契約満了の物件や継続的に赤字が続いている店もあるので、選択と集中を進める必要がある。ただ、どこにおいても店舗は地域にとって重要な位置づけにある。それを十分加味しながら考えたい。エリアを特定して閉鎖する考えはない」としている。
また、ファミリーマートとサークルKサンクスの統合過程でも、商圏が重複する店舗の整理は不可欠となる。中山社長は「閉鎖する店舗も出てくるが、まだ両社の間で詳細な検討に入っていない。不採算店の閉鎖や移転は、両社とも毎年かなりの数を行っている。その延長上で計画を立てていく」としている。
次世代型のコンビニ機能 店舗活用したハブで支える
中山社長はGMSやSMとのシナジーを説明するなかで、次世代型コンビニの機能を支えるハブ店舗を活用した仕組みに言及した。現在、出来たての弁当を供給するため、コンビニの閉鎖店を弁当の製造拠点とする実験を進めているという。
「コンビニの営業をやめた店舗で弁当を製造し、周囲の20~30店に供給する実験を進めており、うまくいっている」(中山社長)
カスミやイズミヤと取り組むSMとの一体型店では、近隣のSM店舗から出来たて惣菜を供給している。ユニーの店舗も同様に活用することで、コンビニ機能の進化を目指す。
「東海圏でドミナント展開しているSMやGMSの店舗はハブの拠点になる。1時間以内で配達可能な周辺店舗に、出来たて弁当のほかベーカリーなども届けられる」(同)
ドミナント内の一部店舗をハブとして活用する仕組みは、出来たて惣菜以外の活用も検討している。
中山社長は、「1店舗を地域のハブとして機能させる取り組みは、店舗間の物流やデリバリー機能にも応用できる。コンビニが物流拠点として注目されているが、狭いバックヤードでは難しいところがある。これもハブ店舗をデリバリー拠点として地域をカバーすることで、周辺店舗の機能を高めることができる。SMやGMSはその拠点にもなる。こういったことが次世代型コンビニにつながると考えている」と語った。
日刊流通ジャーナル2015年10月19日号より抜粋