メディカル一光(南野利久社長)は、調剤報酬改定で調剤薬局事業の利益率低下が予想される中、在宅調剤の拡大や、国が推進する「健康サポート薬局」の要件をクリアすることなどで収益性アップに取り組む。同時に既存の調剤事業で調剤機器の導入により作業の効率化を進める。また介護事業は、有料老人ホームを中心に居住系施設を増やすとともに、既存の施設の入居率を高める。
南野社長は第2四半期決算会見で、高齢社会に対応できる調剤薬局を目指して国が制度を変更する中、在宅の推進や業務の効率化で収益性を高める方針を語った。
「65歳以上の人口が3000万人を超え、医療財政は危機的な状況だ。調剤薬局業界も転換期にあり、国は単に処方箋を応需するだけでは利益を出せない制度に変えようとしている。同時に、処方箋単価が高い大病院前の開発競争も激化している。今後は個人・施設への在宅調剤や、他の職種との連携強化による地域医療との連携を強化する。あわせて調剤機器の導入を増やし、薬剤師の人時を最適化する」
また、厚労省が16年度調剤報酬改定で導入を目指す「健康サポート薬局」の認定要件から、OTCが除外されたことに賛同するとともに、同社をはじめとする調剤専門薬局が健康サポート薬局の主な担い手になるとの見方を示した。
「厚労省は調剤専門薬局にOTCを販売させようとしたが、大半の生活者はドラッグストアで購入しており無理があった。健康サポート薬局を目指すドラッグストアも多いというが、調剤専門薬局の方が主流になるだろう」(南野社長)
介護事業の売上構成比は15%超に
16年2月期第2四半期決算は、調剤薬局の好調や介護施設の増加などで増収だったものの、4月の介護報酬引き下げなどで営業減益となった。不動産事業で賃貸時に得た権利金など1億0300万円を営業外収入に計上し、経常段階では増益となった。
売上高は9.2%増の141億6200万円、営業利益は0.7%減の6億5700万円、経常利益は4.6%増の7億円、当期利益は17.4%増の5億0300万円だった。
売上総利益率は介護報酬引き下げや介護施設開設の初期費用の増加で0.5P減の11.0%、販管費比率は前年同期並みの6.4%だった。この結果、営業利益率は0.5P減の4.6%、経常利益率は0.3P減の5.2%となった。
調剤薬局事業は売上高112億6400万円(7.0%増)、営業利益8億6100万円(14.3%増)だった。新店やM&Aの効果に加え、既存店が好調に推移した。
期中は2店を開設、1店を取得した一方、1店を閉鎖し、期末店舗数は93店となった。立地別では、総合病院前が46店、中小病院・診療所前が47店となっている。1店あたりの年商は、15年2月期末比560万円増の2億4170万円となった。「総合病院前の出店余地が少なく、中小病院・診療所前の年商2億円未満の店の比率が上昇している。既存の総合病院前で高単価の処方箋を応需することで収益性を維持している」(南野社長)
高齢者向け施設を展開する介護事業は、売上高21億3800万円(21.0%増)、営業利益8800万円(31.7%減)だった。施設の増加や入居者の増加で増収だったものの、4月に介護報酬が2.27%引き下げられたことなどで減益となった。なお、介護事業の売上構成比は過去最高の15.1%(1.5P増)となった。
三重県伊勢市に有料老人ホーム(60床)を開設し、島根県出雲市の有料老人ホーム(7床)を閉鎖した。この結果、有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅などの居住系介護施設は22施設、定員数828床となった。「開設2年以上の居住系介護施設の入居率は84.5%で、全国平均の8割弱を上回り好調だ。開設後1年未満の入居率も上昇しており、安定的な収益を目指す」(南野社長)
日刊ドラッグストア2015年10月20日号より抜粋