ファミリーマート(中山勇社長)は今期、約600店の純増に12月に吸収合併するココストアの600店強が加わり、総店舗数が1万2000店を超える。16年9月に予定しているユニーグループ・ホールディングスとの統合以前に、1万店を超えるチェーン規模での出店戦略および既存店活性化が課題となっている。15年度上期は、大都市圏への出店強化やリロケートで新店の平均日販がアップした。また、異業種とのコラボによる新しいフォーマットの開発に取り組んでいる。そのほか拡充を続ける店舗網を活かし、Eコマースや宅配など新規分野での事業も視野に入れている。
中山社長は現在の店舗開発ペースについて、1万店を超えるチェーンが健全に成長していくことがテーマになると語った。
「加盟店は10年契約なので、年間1000店くらいが契約更新の対象になる。10年のうちに店舗与件が変わってしまう場合があり、おおよそ2割はスクラップ&ビルドの対象となる。また、毎年300店は閉鎖しているため、最低でも500店は新設しないと成長できない。今後は異業種との一体型店舗で100店、鉄道その他のニューマーケットで200店を考えている。残り200店のうち、現状の実績に照らし合わせれば6割は複数店オーナーが担うことになる。複数店経営にとって魅力あるFCパッケージを用意していく。残りは新規オーナーをリクルートすることになる。そのくらいの新規オーナーを獲得できる魅力を備えた業態だと考えている」
15年度上期は、364店を新設する一方、242店を閉鎖し、エリアFCを含む総店舗数は1万1450店となった。三大都市圏や、地方の中心都市への出店を強化したことで、新店日販は3万2000円増の49万2000円となった。なかでも三大都市圏の新店日販は52万9000円、都内に限れば55万5000円となっている。また、既存店は客単価が伸長し0.9%増だった。
「前期までの大量出店や既存店の設備増強が、投資回収の時期に入った。とくに平型アイスケースの拡大が夏場の売上伸長に効果を発揮した」(中山社長)
異業種コラボで新フォーマット開発
ニューマーケットと位置づける特殊商圏への出店では、仙台市営地下鉄に出店したほか、自衛隊関連施設での展開が加速している。
異業種とのコラボで新フォーマットの開発を目指す「+ファミリーマート」の取り組みでは、8月にAコープとのモデル店を島根県松江市に開設した。
コンビニの品揃えに加え生鮮・日配を強化するほか、地域コミュニティの拠点として機能するため広いイートインコーナーや、健康カラオケルームを併設している。また、高齢者向けの弁当宅配サービスや移動販売の拠点としても活用する。
ドラッグストアとの一体型店は、ファーマライズホールディングス、ヒグチ産業との3社による合弁会社を中心に、店舗の拡大や登録販売者・薬剤師の育成を加速する。一方、SMとのコラボ店は、イズミヤ、カスミとの4店にとどまっている。
「ドラッグストアとの一体型店は、客層の相互補完ができるうえ、店舗オペレーション、品揃えのチューニングも完成しつつある。SMとの一体型店は、それらのチューニングがまだ十分とはいえない。ただ、生鮮・惣菜を近くのSM店舗から供給できることは魅力であり、それを活かすことで新しい業態が可能になると考えている」(同)
日刊流通ジャーナル2015年10月21日号より抜粋