イズミ(山西泰明社長)は、デイリーマートの子会社化によって店舗網を拡充する。物流や販促でスケールメリットを発揮するとともに、地域商材の仕入などのノウハウを共有する。15年、スーパー大栄(北九州市八幡西区)、ユアーズ(広島県安芸郡)に続き子会社化した。スーパー大栄は5月までに全店を改装し、売場づくりのレベルアップに取り組んでいる。ユアーズは15年中をめどに改装計画を策定する。熊本のゆめマートを含め、SMはエリアごとの子会社を中心にシェアを拡大する。
イズミは広島、福岡、熊本を重点エリアと位置づけている。四国は1998年オープンの高松店(香川県高松市)、08年の三豊店(同三豊市)と丸亀店(同丸亀市)、11年の徳島店(徳島県板野郡)のゆめタウン4店を展開している。
新たに子会社化するデイリーマートは1970年の設立で、徳島県美馬市を拠点に、SM7店を展開している。15年6月期決算は売上高71億4000万円、経常利益2億3100万円、当期純利益1億3900万円だった。
イズミは11月17日付でデイリーマートの株式を100%取得し子会社化する。なお、取得価額は業績や今後の見通し等を勘案し、協議のうえ決定する。子会社化後もデイリーマートの藤原武志社長は留任する。
商品仕入や物流の共有化、共同販促などに取り組みスケールメリットを活かすほか、電子マネー「ゆめか」や情報システムの導入などを検討する。また積極的な出店を支援する。
ユアーズは15年中に改装計画を策定
15年2月、資本業務提携していたスーパー大栄の連結子会社化に続き、9月にユアーズと資本業務提携した。13日付でユアーズの第三者割当増資44億9700万円を引き受け、普通株式800万株余り(議決権割合50.3%)を取得して連結子会社化した。
M&Aの方針について川西正身執行役員財務経理部長は、「財務内容は重要な要素ではなく、トップをはじめ経営陣が全店を見て回り、イズミが運営して収益がアップするかどうかを判断する。そして子会社化した後、売上アップや効率化につながる部分で当社のノウハウを導入する。かつて熊本の西紅(ゆめマートに吸収合併)を子会社化したとき、MDやオペレーションなど当社の手法を一気に導入し、客数がダウンしたことを反省した。相手先のよさを活かしながら、成長の阻害要因を取り除いてともに成長し、グループとしてエリアのシェアアップにつなげる」と語った。
スーパー大栄は資本業務提携後、今年5月までに全26店を改装した。惣菜のインストア加工比率アップや、ニチリウ等の商品供給、電子マネー「ゆめか」、ポイントカードシステムの導入のほか、一部店舗にはドラッグ売場を併設して売場面積の適正化を図るなど、イズミのノウハウを導入した。5月以降は店内作業の標準化、売場づくりのブラッシュアップに取り組み、下期からは単月での黒字化を見込む。
ユアーズは資本業務提携後、イズミから役員4名、スーパーバイザー6名を派遣し、改装計画を立案している。
「広島や岡山の店舗は総じて好調で、北九州の旧丸和の店舗は不採算店の閉鎖を含めて検討する。15年中をめどに計画を決定する。今後、SMは熊本のゆめマート、北九州のスーパー大栄、広島・岡山のユアーズがエリアの中心となり、イズミは出店を支援していく。ゆめタウン、中商圏型のゆめモールとエリアのSMでドミナントを深耕する」(川西執行役員)
日刊流通ジャーナル2015年10月23日号より抜粋