ハローズ(佐藤利行社長)は、9月にオープンした緑町店(広島県福山市)を生鮮・惣菜強化のニューフォーマットと位置づける。佐藤社長は、「年商は25億円は超えるだろう。生鮮・惣菜の構成比は52~53%で推移している。今後、競合が厳しい商圏でも、このフォーマットで出せればどうにかなりそうだ」としている。上期の業績は増収2ケタ増益で、部門別では生鮮・惣菜が牽引した。「当社は生鮮が強いチェーンとは思っていないが、急に伸び出した。産直を拡大した取り組みなどが効果を上げている」(同社長)
緑町店は、店舗のデザインやレイアウトを見直し、生鮮と惣菜の主通路を通常の1.5倍に拡大している。品揃えの幅を従来より広げ、顧客満足の向上を図った。
佐藤社長は、「生鮮を得意とする競合チェーンがある商圏でも、このモデルで行けば勝てるという手ごたえがある。ただ、人時数がまだ通常の1.5倍ほどかかっており、早期に1.3倍ほどに抑えるようにしたい。この店の成果を既存店に取り入れていく予定だが、今後の標準モデルとする考えはない。売上の見込める商圏に出していく」という。
棚割変更システムを実験導入
今期は営業体制を見直し、四国地域への本部指導を強化した。また、6月から電子マネー「ハロカ」やクレジットカードでの決済システムを導入し始めた。電子マネーは今期中の全店導入を予定する。
「電子マネー、クレジット決済の効果はまだ小さいが、単価アップには寄与している」(同)
好調な生鮮・惣菜のうち、惣菜では中華惣菜のコンセや、コーヒーマシンの導入を進めた。生鮮は、月2回実施する「大あばれ市」を中心に、青果・鮮魚の産直商品を強化した。
「緑町店だけでなく、新店は生鮮・惣菜の構成比が従来よりも高まっている。急に生鮮が伸びて不思議に思っているところもあるが、産直が拡大したことで、鮮度のいい商品が並ぶようになったという事実はある。チェーン規模が大きくなり、これまでのルートだけでは商品が揃えられなくなったことに対応した取り組みでもある」(同)
下期は、稼働したデリカセンターの炊飯ラインを活用し、寿司、おにぎりの品質向上につなげる。また、10月から四国エリアの新たな物流センターが香川県綾歌郡に稼働した。店舗では自動発注システムを補強する仕組みとして棚割変更システムを実験導入し、効果を検証していく。
「棚割変更システムはまず1店舗に導入して検証し、年明けから広げていく。生産性の向上を目的としたものではあるが、棚割だけができればいいというものではない。エンドや島とうまく連動させ、全体の露出を高めることが重要だ」(同)
日刊流通ジャーナル2015年10月30日号より抜粋