新日本スーパーマーケット協会(横山清会長)は16年2月10日から3日間、東京ビッグサイトで「第50回スーパーマーケット・トレードショー2016」を開催する。50回記念で外食・フードサービス、オーガニック食品など、ほかの主催団体との共催で「FOOD TABLE in JAPAN2016」の名称を掲げる。SMを軸とする食関連の業界が一堂に会し、さまざまな問題が提示される。50回目のSMTSは規模、中身とも新しい次元に移行する。横山会長は「FOOD TABLE in JAPANという大きな看板を掲げ、10万人規模の来場者となるだろう。それをどう受け止めるかということが課題になる。問題を提起する側、発見する側の両方に、創発現象が起きるものにしたい」と語っている。
他業種との共催で規模、中身とも新しい次元に移行

スーパーマーケット・トレードショーは第50回の節目を迎え、SMと関連するほかの主催団体と共催で東京ビッグサイトの東西全館を使い、「FOOD TABLE in JAPAN」のもとで開催する。流通業界のビッグイベントとなる。開催に向けた進捗状況と業界を取り巻く環境、今後の見通しについて横山会長にインタビューした。
――SMTSが半世紀を迎えます。業界動向とSMTSが果たしてきた役割について、どのようにお考えですか。
横山会長 最近は地域、所得、年齢の3つの格差がまだら模様になっている。大手の業績は総じて厳しいが、中堅はいい所、悪い所がはっきりしはじめた。いい所は、惣菜の強化やイートインの導入に取り組んでいるが、それで問題が解決するのかという疑問がある。また、本来非価格競争の分野といわれる生鮮、惣菜関連の強化が重要だといわれるが、この半世紀、どこもやってきたことだ。
最近はオムニチャネルで買物を含め、スマホで生活できるといわれるが、人間は考える葦であると同時に、やはり足(フット)が機能しなければ生活が成り立たない。やはり最後に生き残るのは、リアルの強いところである。そういう面で今度のFOOD TABLE in JAPANの果たす役割は大きい。
かつて日本セルフ・サービス協会が年1回、東京で全国研究会を開催し、会場のホテルの一角で商品や什器を展示していた。これがトレードショーの先駆けである。第50回開催に向けてホップ、ステップ、ジャンプと準備を進めてきた。いよいよ来年がジャンプの年となる。ジャンプして着地したら、すぐ次のホップに向かわなければならない。
今回は別のフィールドも含め、「FOOD TABLE in JAPAN」として開催されるが、いろんな問題提起を含めた勢いもさることながら、ジョン・マッケイがいっているようなコンシャス・インダストリー、コンシャス・カンパニー、コンシャス・リーダーという高邁な理想が求められるのではないかと思う。かつて、高級品を取り扱う質販店という言葉がもてはやされたことがあったが、いまになってわれわれが目指すべきものでないことを実感している。いいもので、安心・安全、健康であるから、高くていいというわけではなく、やはりみんなサービスが良く値ごろなものを求めている。それが新しい前提となるが、コスト高など、さまざまな問題が生じている。
5年・10年後を見据えた戦略を
――いま人手不足などが問題となっていますが、地域によって差があるのでしょうか。
横山会長 われわれの北海道でも東京ほどではないが、時給が高騰し採用に苦労している。決して人がいないわけではなく、働ける場所が増えている。米国の経済を分析したインパレス・ソサエティ(衝動に支配される世界)という本があるが、5年後、10年後を見据えた戦略が必要なことを指摘している。例えば、いま業績が順調でも、合理化のために従業員を100人カットしたところの株価が上がった事例から、こうした現実の問題をどうみるかということが提起されている。米国人の著作であるが、日本はまだそこまでいっていないことを指摘している。
SMはこれから、グローカルな視点が求められる。全国チェーンが地域対応を重視しはじめた。われわれもそうだが、統合の一方でブロック化している。地域によって、いろいろ違うことが確認され、なるべくコストがかからないように地域のシェアを上げて、そこに継続性のあるようなビジネスモデルをつくっていこうという動きがみられる。
そうなると、もっと的確でリアルな情報が求められる。いままで大量販売でシェアを高めることに取り組んできたが、これが違うことに気づいた。かといって、ニッチマーケットの商品が急激に大きな力を持つというわけではないのが難しいところだ。
人口が減り、高齢化が胃袋が小さくなって、シニア向けに高額なものを売ればいいということがいわれたが、それは売り手の都合でしかない。年金生活者には3%の消費税率引き上げが重く響いている。これは地方だけの問題ではない。いろんな催事、イベントよりも、年金支給日の売上が伸びるという現実がある。
日刊流通ジャーナル2015年10月29日号より抜粋