ミニストップ(宮下直行社長)は今期、店内加工FF部門が9月までの累計で7.3%増(既存店ベース)と好調に推移している。カテゴリー別にみると、上期はコールドスイーツが18.1%増となったほか、ホットスナックが11.3%増と伸長している。ホットスナックは、数年にわたり売上を落としていたが、今期は戦略を見直し、商品の拡充などでデリケースの密度感を高めた施策が奏功している。チキンの需要が高まる12月に先駆け、11月はムネ肉を使った「フィレチキ」など、ヘルシー感のある新メニューを投入する。

コンビニ各チェーンが力を入れる鶏肉のフライド商品で、ミニストップは、使用部位や形状、味付けでオリジナリティを追求している。一口サイズにカットした「クランキーチキン」(税込198円)は、ムネ肉を使用している点や、ジャガイモを配合した特製パン粉によって独自の食感をつくり出す。
また、「ジューシーチキン」(170円)はオーソドックスな骨なしフライドチキンだが、フレーバーのひとつで唐辛子のブート・ジョロキアを使用した〈辛口〉を展開している。かなりの辛口に仕上げたことで固定ファンがつき、販売数量はスタンダードフレーバーに拮抗するという。
13日に全店展開となるフィレチキは、ムネ肉を使用した本格的なフライドチキンだ。1本あたり206キロカロリーに抑えた。本醸造醤油と生姜醤油に漬け込む工程で和風味に仕上げている。
第一商品本部インストア商品開発部インストアデリカチームの小林智氏は、「ムネ肉はもともと脂肪分が少ないだけでなく、モモ肉と比べ衣を薄くできる。モモ肉は、皮のジューシーさをくるむため、衣を厚くする必要がある」という。
また5月に発売した「焦がし醤油チキン串」(180円)をリニューアルする。モモ肉を焼いた商品で、一般的なフライドチキンの半分ほどである132キロカロリーに抑えた。リニューアルではゴマ油の加え、風味を高めている。
「チキンのニーズは多様化しており、クリスマスも骨付きだけが売れるわけではない。カロリーを抑えた和風フレーバーも選択肢のひとつとして求められる」(小林氏)
チルド弁当に「スープごはん」シリーズ

上期はコンビニ部門の米飯類も復調し、売上を伸ばした。伸長率が高いのはチルド弁当で、累計1.5倍で推移している。4月に発売した「BIGハンバーグ」がヒット商品となったほか、9月からはオムライスをソースバリエーションで複数アイテム展開し、売上を伸ばしている。
チルド弁当は常温品に比べ原料素材の幅が広がり、揚げ物だけでなく煮込む・焼くなど製法も多様化する。メニューで差別化できるほか、添加物の使用を抑えられるメリットもあり、女性の構成比の高いカテゴリーとなっている。
10月末に発売した「旨辛スープカレーごはん」(430円)、「海老のビスクスープごはん」(398円)は、30~40代女性をターゲットに開発した。魚介の旨味を加えたターメリックライスに、チルド弁当ならではの特徴である具材の食感を活かしたスープを合わせる。
第一商品本部米飯・デリカ商品開発部米飯・調理パンチームの増山由希氏は、「女性をターゲットにするといっても、ヘルシー感だけでは支持されない。米飯を雑穀米にするアイデアも試したが、味わいにパンチがなかった。魚のアラをつかって味がしっかりとしたターメリックライスをにすることで、満足感のある美味しさに仕上げた」としている。
日刊流通ジャーナル2015年11月4日号より抜粋