イオン(岡田元也社長)は上期、PB「トップバリュ」のグループ売上高が1.8%減の3790億円だった。ブランド再編の過程でアイテム数がやや減少したことが影響している。上質ラインの「セレクト」、スタンダード、価格訴求型の「ベストプライス」の3層構造を維持しつつ、中身の見直しを進めている。4日には開発基準を厳しくしたセレクトの第1弾33品を発売した。メインターゲットとして食にこだわる「食楽家」を設定し、これにあてはまる生活者を集めたモニター調査で合格することを条件としている。

新しい3層構造では、セレクト、スタンダード、ベストプライスの各階層に、2つのセグメントを設定して開発を進めている。セレクトは、専門店クラスの商品をベンチマークした領域と、ベンチマークする商品さえ存在しない価値創造の領域で開発を目指す。日配・グローサリーで110品あったラインアップを、33品まで絞り込んで仕切り直した。新たな基準から漏れた商品は廃止するか、スタンダードシリーズに移管していく。
スタンダードは、ヘルス&ウェルネス、インターナショナル、ローカルといった視点で開発するものと、NBをベンチマークした商品の2タイプに分ける。ヘルス&ウエルネスなどの切り口で新たな開発領域を目指すほか、NB対応品は改廃スピードを上げていく。またベストプライスは、サプライチェーンを活かした価格強化品と、機能などのトレードオフで低価格を実現するものとに大別する。
開発を担当するイオントップバリュの柴田英二社長は、PB再編について次のように語った。
「トップバリュの持つ意味を、改めてお客さまにお伝えしていく。イオン、すなわちトップバリュであり、イオンというコーポレートブランドが持つ主張や理念を具現化したものが、トップバリュというプロダクトブランドになっていく。そういう使命感をもって開発している」
モニターの高評価を発売の条件に

刷新したセレクトでは、前述のようにベンチマークする商品のない、新たな価値創造を目指す領域がある。柴田社長は、売場を持つ小売だからこそ、そういった商品の育成が可能としている。
「お客さまの声を直に聞き、何を求め、何にお困りかを知ったうえで商品に具現化するのがPBの使命と考えている。売場があるからこそ、突き抜けた品質のものをつくり、お客さまに問うことができる。それは小売ならではの強みだ」(同社長)
セレクトシリーズが新たにターゲットとする「食楽家」は、品質にこだわりがあるだけでなく、食べること、料理することを楽しむ層と設定している。こうした生活者を商品ごとに30~50名、モニターとして集めている。
従来、モニター調査は商品への参考意見という位置づけだったが、今期は発売決定の条件としている。品質評価では、4段階のうちトップ評価が80%を超えることを条件とする。加えて、パッケージングやプライシングも評価してもらい、これも購入意向のトップ評価が70%を超える必要がある。
「本当は50品くらいを一斉に発売したかったが、モニター調査をクリアできなかった。突き抜けた品質を追求した結果、なかなかの値段になった商品もある。ただ、購入意向のハードルをクリアした商品ばかりであり、品質とのバランスでみればきっと支持いただけると考える」(同)
日刊流通ジャーナル2015年11月5日号より抜粋