ヤオコー(川野澄人社長)の9月第2四半期業績は、前年同期のSM事業との比較で2ケタの増収増益だった。既存店が6.8%増と好調で、カード会員の増加により新規顧客の獲得が進んだ。導入4年目のカード会員は、直近1年で約19万人増加し181万人となった。売上構成比は77%となっている。カードデータを使った顧客分析では、年齢や購入金額に基づく従来のセグメンテーションに加え、新たに買物傾向に即した約20の分類を設定した。一部の店舗でセグメント別の施策を行い、効果を検証している。
買物傾向に基づく新たなセグメンテーションでは、顧客像を具体的に想定する。あるセグメントの顧客像は、40代(平均42歳)で小・中学生を抱える子育て世帯、鮮度や値頃感よりも簡便性を重視し、購入頻度の高いカテゴリーはサラダ、惣菜弁当、冷食、カップ麺で、来店曜日や時間帯も想定する。このように分類した各セグメントに対し、一部の店舗では個別の施策を実験している。
川野社長は、「お客さまのタイプは思っていた以上に細かく分かれ、それぞれの価値観で異なる買物をされている。現状はこういったタイプがありそうだということを確認した段階で、これから実験を通じて修正と深堀りを進めていく。当社は従来、ヤングファミリーを取り込むためにいろいろな施策を打ってきた。ねらった層は確かに取り込めたが、より増えたのはシニア層であったりして、必ずしもヤングファミリーに直に刺さるものではなかった。もっと直接的に響く施策が必要であり、セグメントをより細かく分け、それぞれにどういうことが効いてくるかを試している」という。
FSPの活用と並行し、カード会員のさらなる獲得を図る。11月は創業125周年企画として、新規入会手数料の無料キャンペーンに加え、合計1億ポイントのプレゼントキャンペーンを展開している。抽選で20万名に500Pを付与する。また、ネットクラブ会員向けのプレゼントキャンペーンも別途、展開している。
「ポイント販促の考え方に変更はなく、お客さまから買物データをいただく代価であり、過度な販促ツールとするつもりはない。11月の施策は、クリスマス・年末商戦に向け客数のベースアップを図るためのものだ。目標としている会員の売上構成比80%に向け順調に推移しており、会員数も200万人が見えるところまできた」(川野社長)
日刊流通ジャーナル2015年11月10日号より抜粋